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トレンドビュー◎終末期の透析医療
透析“見合わせ”の判断基準は?
透析医学会が提言、緩和医療体制の確立が前提

透析患者の高齢化により終末期対応が課題となっている。(撮影協力:横須賀クリニック)

 慢性血液透析療法(以下、透析)の新規導入患者の平均年齢は2012年末、68.44歳に達した。年々高齢化が進み、糖尿病や心血管疾患、悪性腫瘍など多様な病態を抱える患者が増える中、「終末期の対応」という課題は透析の現場でも一般的なものとなってきている。

 透析は循環動態に負荷がかかるため、重篤な心疾患の合併例や全身状態不良の末期癌患者などでは透析中にショックを起こし死亡するリスクもある。「終末期の患者では透析の継続自体がかえって負担となる場合もある。透析の離脱や緩和医療といった選択肢について、患者と家族にきちんと伝えるべきではないか」。東海中央病院(岐阜県各務原市)腎臓内科医長の石川英昭氏はこう指摘する。

7割が透析の見合わせを経験
 透析は週3回の間欠的な治療であるため、終末期には医師が患者の体調を見ながら「今日の透析は見合わせましょう」と治療を延期したり、心臓負荷を少なくするために透析時間を短くすることができる(別掲記事参照)。言わば、治療の“バッファー”が存在し、離脱についても“ソフトランディング”を図ることが可能で、この点が人工呼吸器などの延命治療とは大きく異なる。実際、日本透析医学会が2011年に会員に行った調査(n=163)では、71.2%が透析の見合わせを経験していた。

 ただし、透析の離脱に関する明確なルールはなく、それぞれの医療機関が患者ごとに試行錯誤しているのが現状。「癌末期と一言でいっても、疼痛がコントロールできて長く生きられる場合もあれば、急に出血して死亡することもある。先の予測がしにくく、透析離脱の判断に迷うケースも少なくない」(石川氏)。

 こうした状況の増加を見越し、日本透析医学会は2012年末、「慢性血液透析療法の導入と終末期患者に対する見合わせに関する提言(案)」(以下、提言案)を公表した(表1)。提言案に対するパブリックコメントの募集を終え、最終の取りまとめ作業を現在行っている。 

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