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トレンドビュー◎人工乳房による乳房再建術が7月から保険診療に
「乳房再建術の対象患者は年間1万人超」との声も
安全性を重視した実施基準を設定、インプラントの形状には課題残る

図1 インプラントを用いた乳房再建術 
インプラントは大胸筋下に挿入するのが一般的(上)。手術は乳房下部や乳輪周囲、脇の下など、創の目立たない部位(下)を切開して行う。

 7月1日、人工乳房(以下インプラント)を用いた乳癌術後の乳房再建術(図1)が、国内で初めて保険適用された。今年6月に改訂された日本乳癌学会の『乳癌診療ガイドライン1治療編』にも、「乳房切除術を予定する患者に対して、同時再建は提示されるべきオプション」と明記された。日常診療において、乳房再建術は治療の一部になったといえる。

 インプラントを用いた乳房再建を行っても乳癌の根治性は損なわれないことがこれまでの臨床研究で示されている。また、インプラントを入れた状態でも、マンモグラフィーなどの乳癌検診を受診できる。

 これまで自己組織を用いた乳房再建術は保険診療で認められていた。しかし、体への負担が大きいことから、手術をためらう患者が少なくなかった。また痩せた患者では移植可能な自家組織が少なく、そもそも手術の適応とならないこともあった。自費診療として、インプラントを用いた乳房再建を行う医療機関も存在していたが、費用は50万~100万円程度と高額であり、手術を受ける患者は限られていた。


エキスパンダーと異なる形のインプラント
 今回保険適用されたのは、乳房専用の皮膚拡張器(写真1、以下エキスパンダー)と、ゲル充填人工乳房(写真2)を用いた乳房再建術だ。最も一般的な乳房再建術は、乳癌切除時にエキスパンダーを挿入し、6カ月程度掛けて十分に皮膚を拡張した後に、インプラントに入れ替えるという手術だ(一次二期的再建)。また、既に乳癌を切除した後の患者でも、乳房再建は可能だ(二次再建)。

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