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トレンドビュー◎日本脳炎ワクチン接種後の死亡例
男児はなぜ併用禁忌薬を服用していたのか
背景に広汎性発達障害の治療の難しさ

 「日本脳炎ワクチン接種後に死亡例」──。昨年、小児2例が日本脳炎ワクチン接種後に死亡していたことが明らかになり、新聞やテレビで大々的に報じられたことは記憶に新しい。中でも10月17日、10歳男児がワクチン接種から約5分後に心肺停止を起こして約2時間半後に死亡したケースは、その急激な経過が医療関係者にも驚きを持って受け止められた。(本例の接種後の経過はページ下表1参照)

 その後に開かれた「感染症分科会予防接種部会日本脳炎に関する小委員会」での検討で、男児の死亡は日本脳炎ワクチン接種との関連性が極めて低いと結論付けられ、代わりに男児が服用していた薬が注目された。

 男児は広汎性発達障害で通院しており、その治療のために抗精神病薬のピモジド(商品名オーラップ)とアリピプラゾールエビリファイ)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のセルトラリンジェイゾロフト)を併用していた。このうちピモジドとセルトラリンは併用禁忌だった。

 これを受けて日本児童青年精神医学会は11月12日、「児童・青年期における向精神薬の併用に関する注意喚起」を示し、男児の死亡について何らかの見解を示しうるものではないとしながらも、併用禁止薬の併用を回避するよう注意し、必要に応じて向精神薬の投与前後における心電図モニタリングをするよう推奨した。

 また、日本うつ病学会は12月17日、同様の声明を発表。SSRIなど薬物相互作用を有する薬剤と他薬、特にQT延長など危険性の高い副作用を有する薬剤との併用により生じる副作用リスクの増加を回避するよう注意を促した。

 これら学会からの注意喚起に対応し、既に精神科の現場では動きが出始めている。循環器科専門医で、坂根mクリニック(茨城県つくば市)院長の坂根みち子氏は、「近隣の精神科クリニックから、向精神薬を服用する患者の心電図検査を依頼されるようになった。SSRIを単剤しか服用していない成人患者でも、動悸がする、副作用が不安といった理由で心電図検査の依頼がある」と話す。

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