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再発リスクの抑制、QOLの維持へ期待
センチネルリンパ節生検を胃癌術式決定に応用

 「胃癌の症例で、患者さんの希望がある場合には、センチネルリンパ節生検の結果に基づく腹腔鏡下の縮小手術を実施している」と語るのは、慶応大学病院外科専任講師の竹内裕也氏。

 腹腔鏡を用いた胃切除術にセンチネルリンパ節生検を組み合わせ、センチネルリンパ節に転移が無いことを確認した場合には、標準的な切除範囲よりも狭い範囲を切除する縮小手術を実施しているという。縮小手術により、胃の切除後に生じやすいダンピング症候群(冷や汗、動悸、めまい、下痢など)などの後遺症の減少や、患者の生活の質(QOL)の維持につながると期待されている。

 センチネルリンパ節とは、癌の転移が最初に生じるリンパ節。癌は、主にリンパ液の流れに沿って転移するため、センチネルリンパ節に癌の転移が無いことが確認できれば、それ以降のリンパ節へも転移していないと判断される。生検結果の利用により、これまで転移の危惧から広めに切除していた切除範囲の縮小・適正化が可能になる。

 センチネルリンパ節生検は既に、悪性黒色腫や乳癌の領域で保険診療として実施されている。胃癌領域におけるセンチネルリンパ節生検は保険診療とはなっていないが、早期胃癌を対象に、2008年に先進医療として認められた。現在、先進医療として実施している医療機関は、慶応大病院など12施設だ。

 竹内氏は、「センチネルリンパ節生検の結果に基づいた縮小手術は、まだ、標準的な治療法として認められていない。そのため、患者さんの希望がある場合のみ、倫理委員会の承認を受けた上で実施している」と説明する。実際、同大病院には、「縮小手術を希望して来院する患者さんが多い」(同氏)という。

センチネルリンパ節は高精度で同定可能
 この手法においては、センチネルリンパ節の同定が重要となる。慶応大病院を中心とした12施設は共同研究として、後述する手法により、患者のセンチネルリンパ節を正確に同定できるかを検討した。対象は癌の大きさが4cm以下の比較的早期の胃癌患者約400人で、調査期間は2004年8月から08年3月。その結果、高い精度でセンチネルリンパ節を同定できることが確認された(下表)。

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