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「女性医師 再教育―復職プロジェクト」シンポジウム
女性医師の職場復帰に必要な条件とは?

2009/04/07
荻島央江=フリーライター

離職した女性医師が現場復帰するためには「労働環境の整備のみならず、女性医師側の意識改革も欠かせない」と指摘する、東京女子医大の川上順子氏。

 医師国家試験の合格者における女性の比率は年々上昇し、ここ数年は3割を超えるまでになっている。一方で、出産や育児のため、臨床現場を離れる女性医師も少なくなく、医師不足の要因の一つとされている。離職した女性医師がスムーズに職場復帰するには、どのような環境と条件が必要なのか―。

 女性医師の復職支援を手掛ける「女性医師 再教育―復職プロジェクト」(東京女子医科大学、日本赤十字社、済生会、メディカル・プリンシプル社共同)が主催するシンポジウム「女性医師 働き続けられる病院システムを求めて」が3月20日、東京女子医科大学で開催された。

 先進的な復帰支援を導入している病院の関係者のほか、復職を希望し、研修に関心を持つ女性医師など57人が参加。円滑な職場復帰のためには、院内保育所の設置などの環境整備が必要であることや、男性を含む病院勤務医全体の待遇改善が重要であることが指摘された。

女子医大の「女性医師再教育センター」の研修実績31人
 復職支援の具体例の一つとしてまず紹介されたのが、東京女子大が2006年11月に開設した「女性医師再教育センター」。一度離職した女性医師に現場感覚を取り戻してもらうための臨床研修を実施している。研修は同大学病院のほか、日本赤十字社、済生会などの協力病院で受けられる。

 費用は登録料1万円のみで、参加条件は離職前の診療経験が2年以上あること。出身大学などは問われず、実際、申請者の82%は東京女子医大以外の出身だ。研修期間は半年から1年程度で、カリキュラムは、診療科や離職期間、医師としての経験年数に応じて一人ひとりに合わせたオーダーメイドが基本。既に21人が修了し現在10人が研修を受けている。

 再就職先は必ずしも研修先の病院とは限らず、別の病院を志望することも可能だ。「研修先への就職を必須条件にしてしまうと、研修を受ける医師側も、受け入れる病院側も二の足を踏みかねないので、あえて自由なルールにしている」と東京女子大第一生理学主任教授で、女性医師再教育センター副センター長を務める川上順子氏は話す。

 同センターでは、臨床研修の前段階として、09年1月から製薬会社グラクソ・スミスクラインと共同で、eラーニングによる学習支援も始めている。

 東京女子医教授や同大の医師の講義映像を、テーマごとにネット上に公開。基礎から応用まで臨床復帰に必要な内容を幅広くカバーしており、登録すれば医師や看護師のほか、医学生なども無料で利用できる。3月10日現在で517人が登録しているという。

 東京・多摩地区の救急中核病院、武蔵野赤十字病院でも、女性医師の復職をバックアップする取り組みが始まっている。

 非常勤を含め240人いる医師のうち約3割を女性が占める同病院では、離職した医師の復帰を支援する「医師再生プログラム」を実施。参加する医師は、昼間の内科系の急患を診察する総合診療科に配属される。「幅広い臨床能力が養成できる総合診療科は、復帰を目指す医師にとって最適な職場」と病院長の富田博樹氏は位置づける。

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