日経メディカルのロゴ画像

【日経ヘルスケア9月号●診療所経営駆け込み寺より】
患者数が伸び悩んでいる 原因究明のために何をするべきか

2008/09/09
日経ヘルスケア

【質問】
 最近、患者が減少気味で悩んでいます。近隣に競合の診療所がオープンしたという話は聞いていませんし、他院の人気が高まっているのか、当院のサービスが低下しているのか、理由がよくわかりません。原因を究明したいのですが、まず何をすればいいでしょうか。(内科、45歳)

【回答】
レセプト分析と患者アンケート 併用すれば原因の多くは判明
回答者◎名南税理士法人・会計コンサルティング部部長 萩原 瑛司

 患者が減少した原因を調べるには、レセプトデータの分析と患者アンケートの実施が有効だ。レセプトで市場環境の変化を推測し、アンケートで院内の問題点を探っていけばよい。

来院患者が少ない地域を確認

 レセコンには、住所や疾患、通院回数など、重要な患者データが保存されており、それを活用しない手はない。自分でデータを抽出するのが難しければ、業者に依頼する方法もある。

 レセプトの分析は、地域別、疾患別、年齢別に行うのが基本となる。
 まずは、どの地域からどれだけの患者が来院しているか、その数がどのように変化しているかを知るために、地域別の分析から始める。患者の住所データを基に、町や丁名別の人口当たり患者数を算出する。地域別の傾向を把握できれば、原因分析の取っかかりになる。

 特定の地域の患者が減っていれば、競合診療所の開業以外の原因として、既存の競合診療所による新しいサービスの開始、宣伝不足などが考えられる。

 ライバル診療所が最新の診療方法や医療機器を導入して集患力の強化を図っているのであれば、他院にないサービスを新たに模索するなどの対策が必要だ。原因が特定できない場合、宣伝不足が影響している可能性もある。看板や電柱広告を新たに出すなど、その地域での宣伝方法を重点的に見直す。

 筆者がコンサルティングした事例では、レセプト分析により、他と比べて患者数が著しく少ない地域の存在が明らかになったことがある。実際に現地に行くと、その地域に看板を出していないことがわかった。そのため数カ所に看板を設置して対応した。

 ただ、遠隔地からの患者の減少は、あまり気にかけなくてもよいだろう。費用対効果を考えても、通院の利便性が悪い地域での集患策より、通院しやすい地域から患者を集める方策を重視すべきなのは言うまでもない。

専門分野の患者数増減をチェック

 次は、疾患別の分析結果の使い方だ。アレルギーや糖尿病など、自院の専門分野に合致する疾患の患者が減っているのであれば、糖尿病教室を開いたり、市民講座の講師を務めるなど、専門性をPRする手段を検討したい。

 逆に、専門分野の患者が特に減っておらず、一般診療分野の患者が減っているならば、地域におけるプライマリ・ケアへの取り組みがおろそかになっていないかを確認すべきだ。専門分野の患者以外は診ないと割り切っているなら別だが、そうでなければ、専門分野以外の初期診療も積極的に行い、自院で対応できない患者を速やかに紹介できる専門医との連携関係を構築しておくなど、プライマリケア医としての役割を強化する必要があるだろう。

 年齢別の分析によって、どの年齢層の患者が減っているかを知ることも、原因推測の一助になる。例えば、中高年の患者は専門性を気にすることが多い。その年齢層の患者が減っていれば、中高年が注目するメタボリックシンドローム関連の検診や指導などに注力していくのも一つの方法だ。

 ただし、1回の分析で患者動向の変化を把握するのは難しいため、分析は定期的に行っておきたい。1年に1、2回程度データを分析しておけば、時系列の変化を追えるため、患者減少の原因も把握しやすくなる。

この記事を読んでいる人におすすめ