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無症状でも確定診断が可能に
肺MAC症の診断基準が5年ぶりに改訂

「新たな保険適用薬の登場を踏まえ、来春までには治療に関する見解をまとめたい」と話す、結核予防会複十字病院の倉島篤行氏。

 肺MAC症Mycobacterium avium complex症)に代表される肺非結核性抗酸菌症の診断基準が、5年ぶりに改訂された。「臨床症状あり」が基準から外れるなど大幅に基準が見直され、無症状でも画像所見と菌培養から確定診断が可能となったことから、これまで放置されがちだった軽症例の拾い上げが進みそうだ。

急増する健診での発見例
 健診で肺の異常陰影を指摘された、30代の女性。健康で、咳、痰などの自覚症状はないが、胸部CTで気管支拡張像と小結節影の散布が認められた。喀痰が出ないため、気管支洗浄液の抗酸菌塗抹検査を行ったところ、陽性。培養の結果、非結核性抗酸菌の代表格であるMycobacterium aviumが検出された──。

 これは、近年増加傾向にある肺MAC症の典型的な発見パターンだ。

 非結核性抗酸菌は、結核菌を除いた様々な抗酸菌の総称で、環境中の水や土壌などに広く生息し、一部のヒトで感染症を引き起こす。非結核性抗酸菌症は、結核を含む抗酸菌感染症全体の約3割を占めるとされるが、その割合は年々増加している。

 特に、肺非結核性抗酸菌症の8割以上を占める肺MAC症は、確実な治療法がないことから、「隠れた難病」とも言われる。近年では、胸部CT上、中葉・舌区を中心に気管支拡張像と小結節陰影を呈する「小結節・気管支拡張型」の増加が目立つ。このタイプは、基礎疾患のない中高年女性に多く発症する。

 旧基準では、Mycobacterium aviumなどの非結核性抗酸菌が検出されても、自覚症状がない患者は、確定診断ができなかった。結核と違ってヒト-ヒト感染もしないことから、経過観察もなく放置されることも多かった。

症状の有無、菌量は問わない
 今回、日本結核病学会と日本呼吸器学会が合同で作成した、新しい診断基準は表1の通り。

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