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【日経ヘルスケア7月号●診療所経営相談室より】
職員向けの福利厚生サービス 導入しやすくて喜ばれるものは

2008/07/15
日経ヘルスケア

【質問】
開業して4年です。経営が軌道に乗り、資金に余裕が出始めたので、職員の福利厚生に力を入れようと思っています。職員に喜ばれ、しかも診療所で導入しやすいメニューには、どんなものがあるのでしょうか。(48歳、内科)

【回答】
お仕着せじゃなく多様なサービスを
(回答者:(株)日本医業総研 田中 徳一)

 福利厚生の充実は、職員の職務意欲や定着率を向上させる上でプラスの効果を生む。しかし、「職員みんなで温泉旅行」といった内容では時代遅れ。職員がそれぞれの好みに応じて利用できるメニューにしなければ、高い効果は期待できない。

 最近は企業でも、社宅を売却して、住宅手当に回したり、社員旅行を廃止して旅行券を配布するというような形に変わってきている。同様に、診療所もこれからは、お仕着せではなくメニューの多様化を前提に、福利厚生を考えなければならない。

民間企業のサービスを活用

 多種多様なメニューといっても、診療所が独自に用意するのは難しい。例えば、ホテルやレクリエーション施設、保育園などと、福利厚生での利用について個別に契約するのは面倒だ。

 そこで注目したいのが、リラックス・コミュニケーションズやベネフィット・ワンなど、法人向けに福利厚生サービスを提供する企業と契約する方法だ。これらの会員になれば、職員が様々な福利厚生サービスを簡単に利用できる。

 提供サービスの種類は、専門の企業だけあって非常に多い。具体的には、数千カ所、数万カ所にも上る国内外のホテルやレクリエーション施設を割安な料金で利用できるほか、保育園や家事代行サービス、英会話教室やビジネス研修などの教育サービスも低額で受けられる。例えば、1泊1万円のホテルが5000円程度で宿泊できたり、保育園の料金が10~20%引きになる、会員の親が高齢者向け住宅へ1週間無料で体験入居できるなど、内容は様々だ。

 導入費用も決して高くはない。例えば、ベネフィット・ワンの場合、診療所の従業員1人当たり月350円を払えばよい(従業員10人以下なら、1法人当たり月4000円)。インターネット事業者のヤフーが展開する「Yahoo!福利厚生」では、同様のサービスが1人当たり月315円だ。また、サービスを提供する企業によっては、支払う会費に応じて、割引額が大きくなったり、利用できるサービスが増えるようになっている。

 こうしたサービスを利用した場合、福利厚生費として経費計上できるかどうかも重要になる。基本的には、パートタイマーを含めて職員全員を加入させておけば、福利厚生費として計上できる。

独自補助や休暇の充実も

 上記のようなサービスの利用以外では、診療所独自の補助制度や休暇の設定も考えられる。

 補助制度として考えられるものは、住宅補助、育児補助、能力開発補助などだ。ただ、住宅補助は賃貸住宅居住者を対象とするのが一般的で、対象外となってしまう職員の不公平感が高まりやすく、運用が難しい。それよりは、保育園費用を補助する育児補助や、資格取得のための講習費用などを一部負担する能力開発補助の方が、導入しやすいだろう。

 後者の例としては、法定日数を超える育児休暇の独自付与や、資格試験前日の休暇など、法定の休暇とは別に設ける休暇が考えられる。また、比較的ニーズが高いのが入職時特別有給休暇制度。法定の年次有給休暇は、入職後6カ月経過した時点で10日分発生するため、入職時にはないのが普通だ。そこで、入職時点から3日程度付与しておく。こうすれば、仮に入職直後に体調を崩しても、有給休暇を使って休養できるため、職員は安心できる。

 ただ、福利厚生を充実させる以前に、労働関連法規の順守や労働環境の改善を疎かにしていては意味がない。例えば、時間外賃金の適切な支払い、有給休暇の取得促進などを怠っていれば、いくら福利厚生を充実させたとしても、職員には評価されないことを肝に銘じておくべきだ。

【まとめ】
・職員の多様な希望をかなえるには、法人向けに福利厚生サービスを提供する民間企業と契約するのも一つの手段。
・独自の補助制度や休暇も、喜ばれる福利厚生の一つ。職員の希望を参考に、ニーズに合った制度の導入を。
・福利厚生の充実以前に、職員の労働環境の整備を忘れずに。それを疎かにしていては本末転倒。

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