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細胞培養で製造期間2カ月に短縮
新型インフル対策で期待の新ワクチン

ワクチン製造用の細胞培養タンク。

 新型インフルエンザ対策の切り札を、バイオベンチャーが開発中だ。秋田市に本社を置くUMNファーマ米プロテインサイエンス社(2008年5月にエマージェントバイオソリューションズ社が同社を買収)のライセンスを得て開発しているのは、細胞培養ワクチンと呼ばれる新しい製造法の新型インフルエンザワクチンだ。

 細胞培養ワクチンにかかる大きな期待の一つが製造期間の短縮。新型インフルエンザはヒト‐ヒト感染が容易に起こるようにウイルスが変異すれば、瞬く間に世界中に広がると予想されている。そのため、流行株が決定したらできるだけ早くワクチンを製造することが求められる。

 わが国で現在承認されている新型インフルエンザワクチンは、鶏卵内でウイルスを増殖させ、それを精製することでワクチン原液を作るもの。ウイルスが鶏卵細胞を殺してしまわないように弱毒化するまで2カ月、並行して行う鶏卵(有精卵)の確保に6カ月かかるため、ワクチンの出荷まで早くても6カ月を要する。現状では、国民全員分を調達するには1年半ほどかかってしまうと予想されている。

 これに対し、UMNファーマの細胞培養ワクチンの製造期間は約2カ月と短い。作り方は次の通り。流行株からウイルスの感染に関与するヘマグルチニンという蛋白の遺伝子を、ヨトウガの幼虫から得られたSF+という培養細胞に導入する。細胞を培養して増殖させることで、大量にヘマグルチニンを作る。これを精製したものがワクチン原液となる。

 製造期間短縮によって、半年以内に国民全員分のワクチンを供給することも夢ではない。現在は鳥のH5N1型インフルエンザを基にしたワクチンを開発しているが、H7型やH9型などパンデミックを起こす可能性のあるほかのインフルエンザウイルスにもこの方法は応用可能だ。

 ただ、同社のワクチンは抗原となるヘマグルチニンのみをワクチン原液としている。従来のワクチンは、不活性化したウイルスを全粒子のまま原液としており、内容物が異なる。つまり、効果は弱いのではないかという懸念もあるが、「米国で、研究者に試験的にH5N1のヘマグルチニンを接種したことがあり、そのときは抗体価が上昇した」と同社社長の金指秀一氏は自信を見せる。

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