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「洗濯済みのタオル=清潔」は誤り
清拭用のタオルでセレウス菌感染

 患者の清拭に日常的に使っているぬれタオル(おしぼり)が、院内感染の原因となることがある。原因は、熱やアルコールに強く、洗濯しても容易に排除できないセレウス菌(Bacillus cereus)だ。この菌は環境中に広く分布し、穀物や野菜などによく付着していることから、食中毒の原因菌として知られている。一般的には菌血症の原因菌になることはまれで、血液培養の結果が陽性であっても、皮膚に付着していた菌が混入(コンタミネーション)したためと判断されることが多い。

 ところが、2006年に自治医大病院で起こったアウトブレイクは、そんな“常識”を覆すものだった(同大ウェブサイトで詳細を読める)。入院中の患者に発熱などの訴えが相次いだため血液培養を精査したところ、計24人からセレウス菌が分離された。最終的に8人が、菌血症の可能性があると判断された。患者の清拭用タオルに付着していたセレウス菌が、カテーテル操作の過程で手を介して輸液に混じり、血中に入ったと考えられた。

 同病院では、タオルやリネン類の洗濯は、外部の業者に委託している。業者は規定通り「80℃で10分間」の処理をしていたが、セレウス菌はいったん芽胞を形成すると、この程度では死なないのだ。実際、業者に出向いて調べたところ、特定の大型連続槽洗濯機で洗濯、乾燥した後のタオルから、大量のセレウス菌が見つかった。対策として、洗濯機を数回にわたって洗浄することに加えて、医療従事者がカテーテルを扱う際には流水とせっけんによる手洗いを徹底した。以後、アウトブレイクの経験はない。

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