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【日経ヘルスケア5月号●診療所経営相談室より】
地域に流れる自院の悪いうわさ 放っておいてもよいものか?

2008/05/13
日経ヘルスケア

【質問】
 最近、通院中の患者から、近所で当院の悪いうわさが流れていると聞かされました。「あの院長は突然怒り出すらしい。短気な先生みたいだから行かない方がいい」といった内容だそうです。そんな態度を取った記憶はないのですが、こうしたうわさは放っておくしかないのでしょうか。(46歳、耳鼻咽喉科)

【回答】
悪質な風評は柔らかく否定
(回答者:(株)匠代表取締役 原田 裕士)

 地域密着型の診療所には、周辺住民によるうわさが付きものだ。一度受診して嫌な思いをした患者が隣近所の住民に体験談を話し、それが通院中の患者の耳にも入り院長に報告してくるケースや、スタッフが近所の行きつけの喫茶店の店主から自院にまつわる話を聞かされるなど、うわさを知る機会は様々。最近では、インターネットの地域のコミュニティーサイトへの書き込みなども散見されるようになってきた。

 また、それも、診療にかかわることだけでなく、院長の離婚や女性問題といったプライベートに踏み込んだものなど、悪意が感じられる内容が含まれることもある。いずれにせよ、これらは院長が知り得た時点で、既に相当広がっているととらえた方がいいだろう。

自身の対応を省みるきっかけに

 まず、患者がうわさについて院長やスタッフに直接尋ねてこなければ、静観するのが基本。ただし、「院長が怖い」とか「院長が患者を差別する」といった話であれば、いま一度、日々の自分の態度を振り返ってみてほしい。業者に強い口調で接している場面を患者が目にしたのかもしれないし、新規患者の中には、なじみの患者にばかり気さくに話しかけている様を快く思わない人もいる。うわさの内容の一つひとつに目くじらを立てるのではなく、自らを省みる機会にすることが大切だ。

 一方、風評について患者から内容の真偽を尋ねられた場合、明らかに事実と異なるのであれば、患者には「伝えてくれてありがとうございました」と一言お礼を添えた上で、事実関係を否定すればよい。

 対応が難しいのは、内容が必ずしも事実無根と言い切れない場合だ。例えば、院長の態度や診療方針に関する悪評をスタッフが患者から聞かされた際、「そんなことはありません」と言下に否定すれば、「自覚していないだけではないか」と逆に信頼を失うことになりかねない。

 スタッフからは「私たちから見てそのようなことはありませんよ。もし気になる点があったら、遠慮せずに私に話してくださいね」と、やんわりと否定する形で患者に伝えるようにするとよい。

 なお、医療サービスにかかわるものではなく、院長のプライベートに関するうわさについて患者から尋ねられた場合、スタッフには、「『そうしたことはよくわからないので、どうしてもというなら院長に直接聞いてほしい』と答えるように」と、前もって指示しておけばよい。スタッフには気軽に聞くことができても、本人にまで直接確かめる人は少ないだろう。

悪質なケースには掲示板で対応

 もっとも、「院長がしょっちゅう、患者に怒鳴る」など、明らかに事実とは異なる悪意のあるうわさが広まっていてそれを看過できない場合には、たとえ直接尋ねられなくとも、患者にとってわかりやすい形できちんと対応した方がよい。

 具体的には、「『当院の院長が診療中によく怒鳴り出す』といったうわさを聞きました。自分自身はそういったことのないよう十分気をつけているつもりですが、もしかしたら、時に口調がきつくなり皆様を不快にさせていることがあるかもしれません。そういう時にはスタッフに遠慮なくお伝えください。これからも、より一層気をつけてまいりたいと思います」と書いたメモを院内の掲示板などに張っておく─といった具合だ。

 この時、「スタッフから一言」として、女性スタッフの自筆で、「院長が怒りっぽいと評判?でも、本当は優しいんですよ!」など多少ユーモアを交えた文面を加えてもいいだろう。

 ポイントは、「事実無根だ」とむきになって反論するのでなく、あくまでも、悪評があることはきちんと受け止めているというスタンスを見せながら、自らの主張を柔らかく伝えることだ。


【まとめ】
・患者からうわさの内容の真偽を尋ねられた場合、事実と全く異なるのであれば、患者には一言礼を言った上で、事実関係を否定する
・明らかに悪意のあるうわさが流れているのであれば、たとえ患者から尋ねられなくとも、院内掲示板にメモを張るなどして柔らかく否定しておく
・うわさの内容の一つひとつに目くじらを立てず、次回から悪評を立てられることのないように、いま一度、日々の診療を省みることも重要

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