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シリーズ●どうなる?医療事故調《5》
事故調第三次試案、ここが変わった!
医療機関への行政処分や黙秘権など進展、過失の法的判断については変わらず

 厚生労働省が設置を進めている「医療安全調査委員会」(「医療事故調査委員会」の呼称を今回より変更)の第三次試案が4月3日、公開された。これまで寄せられたパブリックコメントや、13回にわたって開催された検討会(診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会)での意見が反映され、より具体的な記述が盛り込まれた。

 主な内容は下記の通り。医師法21条によって捜査機関への届け出は不要になる、届け出違反の罰則は行政処分に限定する、医師の黙秘権を確保するなどが、明確化または新たに盛り込まれた。

 一方で、報告書が刑事訴訟や民事訴訟で使用される可能性があることに加え、過失の法的な評価は捜査機関や裁判所などに委ねられるなど、医療界から懸念の声が大きかった点については進展があまり見られていない。

 つまり、裁判所が委員会の報告書を参考に判断する場合、どれだけの損害賠償が認められるか、あるいはどの程度の刑事責任が認められるかは、司法に委ねられるという点で変化がない。司法の独立性という観点からは当然の措置だが、弁護士の井上清成氏が、以前本サイトの記事で指摘したような、「(第二次試案には)民事の医療過誤損害賠償の訴訟レベルについては、まったく触れるところがない。ADRをいくら活発化させても、根幹に当たる法的医療水準(注・医療過誤の判断基準のこと。医療自体の水準のことではない。)を修正しない限りは、限界がある」という指摘は第三次試案にも当てはまりそうだ。

 ただし、厚労省によると、法務局や検察庁などからは、この案の公表について了解する旨の覚え書きを得ているといい、同省としては「刑事訴追については『謙抑的』な対応をすることで了解を得ているものと考えている」という。そして、捜査機関や裁判所などが適切な判断を下すためにも、医療専門家などで構成する調査委員会が、事故を適切に評価するという点において、透明性・中立性を確保することが求められるとしている。

 今回の案に対して厚労省は、再度パブリックコメントの募集を開始した。第三次試案の主なポイントは以下のとおり。なお、実際の資料は電子政府の総合窓口から入手できる。



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