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米国ACCORD試験、一部中止の波紋
厳格な血糖コントロールは本当によくないのか?

 ACCORD試験一部中止(米国で2月6日発表)のニュースは、世界中の糖尿病専門医に大きな衝撃を与えた。順天堂大内科・代謝内分泌学教授の河盛隆造氏は「血糖厳格管理群でなぜ死亡が増えてしまったのか、解析はこれからという段階で分からないことだらけ。それだけに、発表後の1週間はこの問題を論じるメールが急増、にわかに論議が高まった」と話す。さらに、米国糖尿病協会(ADA)や同様な大規模臨床試験を行っている研究グループからの緊急声明も相次いだ。

 既報記事にあるように、ACCORD試験(Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)は米国立衛生研究所(NIH)が中心になって行っている大規模臨床試験。対象は、高齢で罹病期間が比較的長く、既に心血管イベントの既往があるか危険因子を複数持つような、心血管リスクが特に高い2型糖尿病患者。このような患者の血糖、血圧、脂質を厳格にコントロールすることで、心血管イベントのリスクが減るかどうかを明らかにするために企画された。対象患者1万251人(平均年齢62歳、平均罹病期間10年)という大きな臨床試験だ。

 その中間解析の結果、HbA1c 6.0%未満を目標とする血糖の厳格管理群において、全死亡が有意に増えていたことが判明した(厳格管理群14人/1000人・年、通常治療群11人/1000人・年)。これを受けNIHは血糖の厳格管理群の追跡を中止し、試験が終了するまでの今後18カ月間は、通常治療群と同じHbA1c 7.0~7.9%を目標とすることに決定した(NIHのPress Releaseはこちら)。

かなりの高インスリン血症が原因か
 NIHの発表から10日後、高松市で開催された「第42回 糖尿病学の進歩」(2月15~16日)でもACCORD試験が話題となった。シンポジウム「糖尿病に関する大規模研究のまとめ」の中で東大糖尿病・代謝内科准教授の植木浩二郎氏は、内容を一部変更してACCORD試験の概要や6日以降の研究者の反応などを詳しく解説。

 血糖厳格管理群で全死亡が増えてしまったことについて植木氏は、日経メディカルの取材に対し「現状ではあくまでも推測の域を出ないが、厳格管理群のプロトコルはかなり厳しいもので、その目標に達するためにインスリンの投与単位数はかなり多かったと考えられる。米国の糖尿病患者は高度肥満者が多いため、高インスリン血症も高頻度で見られる。そのような患者にさらに治療によるインスリンも加わり、動脈硬化の進行といったインスリンの悪影響が加速されたことが一因ではないか」と指摘した。

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