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【日経ヘルスケア2月号●診療所経営相談室より】
生活習慣病診療強化のため 院内で患者会を立ち上げたい

2008/02/18
日経ヘルスケア

【質問】
開業して半年です。糖尿病患者の全国的な増加を背景に、当院でも患者数の伸びが目立ちます。周辺に競合医院が多いこともあり、院内に患者会をつくって生活習慣病診療を強化していきたいと考えています。糖尿病専門医ではないのですが、どのように準備を進めればよいでしょうか。(内科、42歳)

【回答】
10人以上集め日糖協を活用
(回答者:加藤内科クリニック院長 加藤 光敏)

 糖尿病患者の治療継続意欲を高めるためには、外来でのきめ細かな対応が大切だが、それにも増して重要なのは、「自分は糖尿病に熱心な医師の下で治療している」という意識を患者に持たせ、治療へのモチベーションアップにつなげること。患者会の設立は、患者の意欲向上を図る上で効果的だ。

 糖尿病学会員以外には案外知られていないが、社団法人日本糖尿病協会(日糖協、http://www.nittokyo.or.jp/)が患者会の運営支援を行っている。患者会を立ち上げる際はまず、協会の都道府県支部に連絡し、協会の「友の会」に入ることを勧めたい。

 「友の会」は、1施設につき患者、医師、看護師などが10人以上集まれば入会できる。入会すると、糖尿病患者向けの月刊情報誌「糖尿病ライフ さかえ」が送られてくるなど、患者の療養生活をサポートするための各種サービスが受けられる。費用は、患者1人につき日本糖尿病協会に100円と都道府県糖尿病協会に50~80円を支払う。

 なお、患者会の会員を募る際は、「患者会をつくるから会員になってほしい」と勧誘するよりも、「糖尿病患者会をつくったので『さかえ』を購読できるようになりました。毎月○円の会費で購読できます」と話す方がメリットをアピールしやすく、入会率も高くなる。

 患者会の開催は、2カ月に1回程度でもいい。平日の昼休みや夜、土曜日の午後などに行うのが一般的。事前に院内掲示などで開催を告知するが、軌道に乗るまでは院長自らが患者に直接声をかけることが大切だ。

教育用ビデオの上映会から始めてみる
 「患者会をつくっても、患者の前で何を話せばいいのかわからない」と悩むのなら、例えば、製薬会社作製の糖尿病教育ビデオや「さかえ」をテキストに、自らが30分ほど補足説明した上で質疑応答の時間を設ける形でも、まずは十分。

 院長の講話の題材は、運動や栄養関連だけでなく、「鳥インフルエンザ」など旬のテーマや院長の専門分野に関する話でも構わない。院長が学会に参加して得た最新知見なども含めると、説得力が増す。簡単な内容にとどめず専門的な話題も随所に織り交ぜるのがポイントだ。

会費は月500円までが現実的
 講話形式での開催に慣れたら、患者に意見を求めるなど、徐々に「患者参加型」の会に移行していくのが理想的。さらには、熱心な患者を患者会の会長に任命して会の運営の一部を任せるなど、「患者主導型」にしていく方法もある。

 また、前述した「友の会」に入ると、日糖協の支部から患者向けの講演会や「歩く会」などの案内も定期的に届く。院内の勉強会だけでなく院外活動も取り入れれば、患者にもメリットとなる。

 患者会の会費は、「さかえ」の購読料を含めて一人当たり月300~500円を徴収しているケースが多い。弁当付きの患者会などで実費を徴収することはあるが、参加者の集めやすさを考えると会費は500円までにした方がいいだろう。当然、会費だけで運営費用は賄えないので、患者サービスと割り切った方がうまくいく。

 なお、患者会で管理栄養士が栄養指導する場合、診療報酬上の集団栄養指導の算定が可能だ。ただし、参加人数制限や指導内容など要件の制約があるので、当院では算定していない。

 患者会で使った資料は、後日、待合室などに必ず掲示する。非会員患者の学習の機会となるだけでなく、患者会の存在を示すことそれ自体が、通院患者の治療意欲を高めるからだ。また、日ごろから待合室で疾患教育ビデオを流すなど、診療所全体で糖尿病診療に取り組む姿勢を示すことが、患者会を成功させるカギとなる。


【まとめ】
・患者会をつくる場合、社団法人日本糖尿病協会の活用を検討する。患者の療養生活をサポートするための各種サービスが受けられる。
・院長の講話には、ビデオや雑誌を活用。最新知見などを織り交ぜ専門的な話題も取り入れると、説得力が増す。
・患者一人当たりの会費は月300~500円が相場。500円を超える会費の徴収は難しく、持ち出し分は患者サービスと割り切った方がうまくいく。

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