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日経メディカル2月号特集連動企画◆「その処置、必要?」 vol. 2
急性中毒への胃洗浄―適応は致死量を飲んで1時間以内

2008/02/13
末田 聡美=日経メディカル

 救急現場では、中毒物質を大量に経口摂取して運ばれて来る急性中毒患者が少なくない。従来から、こうした患者にはルーチンの処置として胃洗浄が行われてきたが、実は効果があるケースはごく一部だということをご存じだろうか。

 急性中毒で特に多いのは、向精神薬による自殺企図や小児のたばこの誤飲。北里大救命救急センター医局長の上條吉人氏は、「精神科や小児科では特に、こうしたケースに胃洗浄が行われていることが多いが、本当に必要なケースはほとんどない」と指摘する。「以前は、二度としないよう、患者への懲罰的な意味合いも込めて行うといったこともあったようだ」(上條氏)。

 このように、なかば慣習的に行われてきた胃洗浄だが、1997年に国際的に見直され、適応が大きく絞られている。胃洗浄が急性中毒の予後を改善するというエビデンスはないこと、その一方で、吐物が気管に入って誤嚥性肺炎を起こしたり、太いチューブを入れることで咽頭や食道の機械的損傷を起こすなど、合併症は増加するという報告が多数あったからだ。

 胃洗浄の効果は、中毒物質摂取後の時間経過とともに下がることも分かっており、国際的に推奨される適応は、「致死量を摂取して1時間以内」。気道保護反射が消失しているような場合や誤嚥する危険性の高い石油製品、口腔や咽頭、食道で再度腐食病変が進行する恐れのある腐食性物質の場合は禁忌だ。

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