日経メディカルのロゴ画像

【日経メディカル1月号特集連動企画◆時代はオーバー55開業 vol.2】
「信頼してくれる患者を、体力が続く限り診続けたい」
迫田晃郎クリニック(鹿児島市) 迫田 晃郎氏

迫田晃郎氏。1957年鹿児島県立大医学部卒。鹿児島大医学部助教授、鹿児島市医師会病院院長を経て、2005年に72歳で迫田晃郎クリニック開設。(写真:増田 泰久)

 鹿児島市医師会病院の院長を退くことになった2005年、迫田晃郎氏は同病院からほど近い場所に「迫田晃郎クリニック」を開設した。当時72 歳。年齢的には臨床医としてのキャリアを閉じてもおかしくなかったし、収入のために働く必要はもちろんなかった。しかし「患者さんの信頼を得て医療をさせてもらえるのは幸せなこと。その価値は何にも代えられない」(迫田氏)と開業を決断した。 
 
 取材の日、クリニックに行くと、10年ほど前に迫田氏に肝臓の手術を担当してもらったという中年の女性がエコー検査を受けにやって来ていた。「ボロ肝臓ですから…」と患者。「いやいや、十分きれいなものですよ」とプローブで腹部を探る迫田氏。なごやかに診察が進む。 

 迫田氏が医師会病院時代に手掛けた手術の数は、大小合わせて約2万件に及ぶ。院長として「紹介救急患者は24 時間断らない」との方針を掲げ、自ら先頭に立ってほぼ毎日、手術をした。「丸1日手術した後、2 ~3 時間休んで、また手術ということも何度かあった」(迫田氏)という。

 先の女性のように、迫田氏に命を救われた患者が入れ替わり立ち替わりクリニックを訪れる。鹿児島大病院時代に手術をし、以来30 年近く定期的に受診している患者もいるとのことだ。慕ってくれるそんな患者を、体力が続く限りフォローし続けたいというのが、迫田氏が医師会病院退職後にクリニックを開設した一番の理由だった。 

この記事を読んでいる人におすすめ