日経メディカルのロゴ画像

検察の起訴根拠を揺るがす展開に
福島・大野病院事件の第8回公判が開催

福島県立大野病院事件の公判は、福島地裁で月1回のペースで行われている。27枚の一般傍聴券を求めて集まったのは66人で、これまでよりも少なかった。

 福島県立大野病院事件の第8回公判が9月28日に開催され、注目証人の一人である胎盤病理を専門とする医師(以下、弁護側病理医)への尋問が行われた。最大のポイントは、検察側が起訴の根拠としていた鑑定書に疑問を呈する証言が行われたことだ(事件の概要などは、「福島・大野病院事件の初公判、被告は無罪主張」「医師が刑事裁判の被告になったとき」を参照)。

 本事件の争点の一つは、子宮と胎盤の癒着部位やその程度であり、鑑定書では、「(胎盤と子宮)の癒着部位は、子宮前壁から子宮後壁まで及んでいた」とされていた。前壁への癒着であれば予見可能であり、それを怠った被告の加藤克彦医師に過失があるというのが検察側の主張だった。ところが、弁護側病理医は、癒着は子宮後壁に限られ、前壁や後壁の上部にも絨毛が見られ、癒着を疑わせるものの、これらは「アーチファクト(人為的に絨毛が付着したこと)の可能性がある」と証言した。

 さらに、医療は不確実性を伴うものだが、病理鑑定においても例外ではないことが、浮き彫りになったことも特筆すべき点だ。病理所見において、「正常」な所見は一義的に決まるが、「異常」の場合、その所見の解釈や異常が生じる原因を同定するのは容易ではないが、その不確実性を検察側があまり理解していない局面が散見された。

5万例の胎盤解剖実績を誇る病理医
 この日の公判は、午前10時20分開廷、途中、計1時間半ほどの休憩をはさんで、午後7時半まで続くという、前回と同様、長丁場だった。証人は胎盤病理を専門とする医師一人のみ。この弁護側病理医は、弁護側が病理鑑定を依頼した人物だ。本事件では、検察側が依頼した病理医(以下、検察側病理医)と、この弁護側病理医の2人が鑑定を行っている。検察側病理医への証人尋問は既に5月に行われ、弁護側は胎盤病理の専門家ではない点を問題視していた(「病理の鑑定結果の信ぴょう性に疑問符」参照)。

 弁護側病理医は、2006年11月8日と2007年8月28日の2回、鑑定を行っている。

 午前中の弁護側の主尋問は、(1)検察側鑑定医と異なり、胎盤病理の専門家であること、(2)鑑定内容も信頼性が高いこと――を確認した上で、検察側鑑定の問題点を突くという展開になった。

この記事を読んでいる人におすすめ