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【日経メディカル9月号特集連動企画◆「後期高齢者」どう診る、どう付き合うVol.4】
認知症の早期発見にエピソード記憶をさりげなく確認

「認知症の早期発見には、プライマリケア医の気付きが不可欠だ」と話す杏林大の鳥羽研二氏

 「85歳以上となると、4人に1人は認知症。これからの高齢者医療で認知症への対応は避けて通れない」。多くの高齢者を診てきた医師たちはこう口をそろえる。認知症を早期に拾い上げるためには、いつも診療しているプライマリケア医の気付きが不可欠だ。認知機能を回復させる薬剤や治療法は今のところないが、早い段階で発見して対応することで症状の進行を遅らせたり問題行動を回避できるなどの効果があるといわれる。

 とはいえ、本人に物忘れの自覚もないような段階で、いきなり認知症の検査をしていると分かると、患者のプライドを傷つけてしまいかねない。

 そこで有効なのが、認知症の中でも最も割合が高いアルツハイマー病の早期に出るエピソード記憶(何かを体験したことの記憶)の障害のチェック。患者自身が体験した出来事を覚えているかどうかならば、さりげないチェックが可能だ。

 長年、家庭医として認知症を診ていた地域医療振興協会地域医療研修センター副センター長の八森淳氏は、患者の身の周りで最近起きた出来事をなるべく把握するように努め、診察のたびに話題を振っていくという。いつもの交通手段を知っていれば、「今日はどうやってここまで来ましたか?」。近所で祭りがあった後には、「この前はにぎやかでしたよね」。孫が遊びに来たことを家族から聞いた場合には「最近お孫さんと会っていますか?」といった具合だ。「事実と違う発言がいくつかあれば、認知症を疑う」(八森氏)。


外来で認知症を疑う変化(大井戸診療所[群馬県伊勢崎市]の大沢誠氏による)
・きちんとしていた人の身だしなみの変化
(下着を取り替えていない、クリーニングのタグの取り忘れ、かすかな尿臭など)
・いつもの診療の流れにまごつくようになった
・診察室からの出口を間違える
・話が長くなった。了解が悪くなった
・会計や次回予約などで、事務員ともめている
・予約の時間を間違える

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