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米国のロシグリタゾン騒動の行方は
処方数急減し、訴訟にも発展

 欧米で糖尿病治療に広く使われているインスリン抵抗性改善薬ロシグリタゾン」をめぐり、大きな騒動が起こっている。同薬の心血管リスク上昇を指摘した論文が医学誌に掲載され、米国では処方数が急減するとともに、患者や製薬会社の株主による訴訟騒動に発展し始めた。

心筋梗塞リスクが43%高いと報告
 事の発端は、5月21日にNEJM誌のオンライン版に掲載された1つのメタアナリシスの論文だった。米国クリーブランド・クリニックのSteven E. Nissen氏らは、ロシグリタゾン(商品名:アバンディア、国内では承認申請準備中)の効果を調べた試験として公開されているもののうち、試験期間や対照群の設定などの条件を満たしている42件の試験を基に、心筋梗塞と心血管死亡のオッズ比を調べた。

 その結果、ロシグリタゾン群では対照群と比較して、心筋梗塞のオッズ比が1.43(p=0.03)、心血管死亡のオッズ比が1.64(p=0.06)というデータが示されたのである。心筋梗塞のリスクが43%上昇し、心血管死亡のリスクも64%上昇することが認められたという結果に対し、Nissen氏らは「早急に大規模無作為化試験で確認する必要がある」とし、「2型糖尿病に対するロシグリタゾン投与は、心血管系への重篤な有害作用を伴う可能性があることを考慮すべき」と結論付けている(この論文の詳細はこちら(120KB))。

 この報告は大きな反響を呼んだ。まず敏感に反応したのは、ロシグリタゾンを販売するグラクソ・スミスクライン(GSK)社の株価だ。前日に57ドル後半だった株価は、21日に約8%下落し、53ドル前半にまで落ち込んだ。

 GSK社はNEJM誌の報告を受けて、反論を展開する。5月21日のプレスリリースで、「NEJM誌の記事に対して強く反論する」として、「NEJM誌の報告はメタアナリシスに基づくものであって、有害事象を明確に結論付けるためには、あまり正確な方法ではない」と、その解析手法に対して批判的な意見を展開した。そして、「現在進行しているRECORD試験(ロシグリタゾンの心血管に対するアウトカムを評価するためにデザインされた大規模長期臨床試験)では、試験を中断しなければならないような安全性リスクを示すデータは得られていない」と主張した。


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