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福島・大野病院事件の第4回公判が開催
「医療過誤はないと判断、異状死の届け出せず」と院長

公判後、記者会見する主任弁護人の平岩敬一氏。

 福島県立大野病院の刑事事件の第4回公判が4月27日開催され、手術に関与した看護師と院長という検察側証人2人への尋問が行われた。加藤克彦医師は業務上過失致死罪のほか、医師法第21条に基づく異状死の届け出義務違反に問われており、特に後者の関連で管理者である院長の証言が注目されたが、届け出義務違反を認定する証言は得られなかった。また院長、看護師のいずれからも、加藤医師の過失に結び付く証言はなかった(事件の概要などは、「福島・大野病院事件の初公判、被告は無罪主張」「医師が刑事裁判の被告になったとき」を参照)。

病院のマニュアルでは院長に届け出義務
 この日の公判は10時から約1時間は、弁護側による「要旨の告知」が行われた。その後、午後1時までは看護師への、午後は2時から4時半まで院長への尋問が実施された。

 本事件の女性が帝王切開後、死亡したのは2004年12月17日午後7時ごろだ。その約3時間半後の午後10時半から、院長は帝王切開手術の経過について、事務幹部や手術を担当した麻酔科医の同席の上、加藤医師から説明を受けた。前置胎盤癒着胎盤であったこと、圧迫止血などを行ってもなかなか止血せず、最終的には輸血血液の到着を待って子宮摘出術を行ったこと、閉腹に差し掛かったときに心室細動が生じたことなどを説明し、最終的には「医療過誤があるとは思わない」と加藤医師は話した。その言葉を受けて検討し、院長は県の病院管理部門の責任者と電話で話し合った上で、「異状死の届け出をする必要はない」ことを決定した。

 医師法第21条では、「医師は、死体又は妊娠4カ月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」とされている。死体を検案した医師」が届け出ることになっている。21条をめぐっては、日本法医学会や日本外科学会をはじめ、様々な団体がガイドラインなどを出していることからも分かるように、その解釈が定まっていないのが現状だ。

 大野病院の医療事故に関するマニュアルの異状死に関する規定では、「医療過誤で患者が死亡もしくは障害が残った場合、あるいはその疑いがある場合に、院長が所轄警察署に届け出る」とされている。21条の「異状があると認めたとき」が「医療過誤」に限定され、届け出の主体も法律は「検案した医師」だが、「院長」となっている。大野病院の院長および加藤医師は、同院のマニュアルに基づいて判断したのであり、最終決定したのは院長であることを考えると、加藤医師に21条違反を問うのは難しいと考えられる。

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