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【日経メディカル3月号特集連動企画◆脳梗塞診療4】
変わる脳梗塞再発予防
重み増す一般内科の管理責任

 血栓溶解薬アルテプラーゼt-PA)の登場や救急搬送体勢の整備により、脳梗塞からの救命率が高くなった後、次の課題として浮上するのは脳梗塞の再発だ。この再発予防では、一般内科医の果たすべき役割は大きい。

 再発予防の観点から必要なことは、大きく分けて2つ。抗凝固薬抗血小板薬の投与による血栓の発生を抑える治療と、血圧管理や血糖値の管理といった動脈硬化そのものを防ぐ治療だ。

 血栓の発生を抑える治療では、脳梗塞の6割超を占めるアテローム血栓性梗塞ラクナ梗塞については抗血小板薬を、残る心原性梗塞には抗凝固薬を投与するのが原則だ。

抗血小板薬の新薬クロピドグレルが登場
 抗血小板薬の新しい選択肢として、2006年5月、クロピドグレル(商品名:プラビックス)が登場した。まもなく市販後1年を迎え、長期処方も可能になる。

 抗血小板薬としては既に、アスピリンのほかにチクロピジンシロスタゾールが市販されていた。だが、アスピリンよりもイベント抑制作用の強いチクロピジンやシロスタゾールについては、同時にその副作用が問題視されていた。特にチクロピジンは、顆粒球減少や血栓性血小板減少性紫斑症(TTP)などの重大な副作用が報告され、緊急安全性情報が複数回出されるほど、その使用には注意が必要とされる薬だった。

 新たに登場したクロピドグレルは、チクロピジンと同様の作用機序を持ち、ほぼ同等のイベント抑制効果を期待できる一方で、現在のところ重篤な副作用の報告はなく、副作用全体で見てもチクロピジンの約半数となっている。ただし、チクロピジンの重篤な副作用の発現は通常、投与開始後3カ月内に起こる。そのため、「長年、チクロピジンでうまくコントロールできている患者については、今後も副作用が表れない可能性が高い。そのような患者については、あえて薬を変更する必要はないだろう」と東京女子医大神経内科教授の内山真一郎氏は語る。

 心原性脳梗塞の患者には、抗凝固薬のワルファリンを投与する原則は変わらない。しかし、出血のリスクが高く、他の薬剤との相互作用が多いワルファリンの使用について抵抗感があり、抗血小板薬を投与している医師もいるだろう。

 だが、日本で非弁膜性心房細動NVAF)患者を対象に行われたJAST(Japanese Atriafibrillation and Stroke Trial)試験では、アスピリンの心原性脳塞栓症予防効果が否定されたばかりか、出血リスクが高まるだけであることが明らかになっている。心原性脳梗塞の再発予防を期待して、抗血小板薬を投与しても、マイナスの効果しかないことを認識しておくべきだ。

 国立病院機構九州医療センター脳血管内科科長の矢坂正弘氏は「ワルファリンは相互作用の多い薬剤ではあるが、それ故にメーカーもどの薬と相互作用があるかを把握している。積極的にメーカーに問い合わせて使っていけばいい」と語る。「抜歯の際はワルファリンを止める」という常識も今や昔。ワルファリンが必要な患者については「止めないこと」が原則だ。

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