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福島・大野病院事件の第3回公判が開催
実に7時間に及んだ麻酔医と助産師への証人尋問

 福島県立大野病院事件の刑事事件の第3回公判が3月16日開かれ、手術の麻酔を担当した医師と、手術にかかわった2人の助産師のうちの1人への証人尋問が行われた。しかし、麻酔医の証言は曖昧な部分が少なからずあり、また助産師への尋問は被告の加藤克彦医師の過失とは直接は関係がない事項も多く、同医師の過失の有無を判断する決め手となる証言は出なかった(事件の概要や初公判の模様は、「福島・大野病院事件の初公判、被告は無罪主張」「医師が刑事裁判の被告になったとき」を参照)。
 
 今回の公判で注目すべきは、証言内容そのものより、医師が刑事事件の被疑者あるいは関係者として、警察や検察の取り調べを受ける際、さらには裁判の証人として証言する際、どんな心境に置かれるか、その心境に応じて証言がどう変わるか、といった辺りが浮き彫りになった点だろう。

調書では断言するも、公判では記憶が曖昧に
 この日の公判は、10時から12時25分までは助産師への尋問、13時半から18時10分までが麻酔医への尋問で、計7時間にも及んだ。特に午後の麻酔医への尋問が長時間にわたったのは、同医師の証言が「~かもしれない」「それは、○○の前のことか、後かはっきりとは覚えていない」など、記憶が曖昧な部分が多かったためだ。このため主尋問に立った検察側は、公判前に検察が行った取り調べの調書を持ち出し、「調書では断言しているが、違うのか」などと詰問する異例の展開が見られた。それでも麻酔医はひるまず、「調書にはそう書かれているのだから、当時はその通り話したのだろう。けれども、そう話したことは覚えていない」などと話した。こうしたやり取りが何回か繰り返された。

 例えば、今回の事件は、「前置胎盤で帝王切開した女性が、出血性ショックで死亡」という事例で、検察側は無理に胎盤剥離を続けたため、大量出血したことを加藤医師の過失の一つとしている。胎盤の剥離と出血量との時間的な関係が、過失か否かの重要な事項になる。調書には「胎盤剥離の段階で、出血量が目に見えて増えてきた」との趣旨の発言があるが、公判では出血量の増加は目にしたものの、時期については明確には覚えていないと証言した。

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