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【日経メディカル3月号特集連動企画◆脳梗塞診療2】
t-PAを使えなければ淘汰される?
急性期病院に突きつけられる診療体制の変化

 「血栓溶解薬アルテプラーゼt-PA)は、適応さえあれば脳梗塞の第1選択の治療」というのは今や、専門医の間ではコンセンサスだ。しかし実際には、t-PAを使用している施設はまだ限られている。日経メディカルと日本経済新聞社が2006年10月に共同で行った調査(「脳疾患治療の実力病院 全国調査」、関連記事)では、脳梗塞治療を積極的に行っている医療機関でさえ、t-PAの使用実績が1例以上ある施設は63%にとどまった。

 さらに付け加えると、t-PAは2005年10月の承認から1年間で、約3200例にしか使用されていない。日本の脳梗塞年間発症数は約100万人といわれており、その使用頻度は1%にも満たない。t-PAは、まだ医療機関の間で十分に浸透しているとはいえない。

 その原因としては、患者がすぐに病院に搬送されず、発症3時間以内という投与の制限時間に間に合わないこと、救急隊がどの病院でt-PAが使えるかを把握していないなどが挙げられる。しかし、t-PAを投与できる診療体制を構築できていないという、医療機関自身の事情も大きいのだ。

人手も人件費も足りない…
 では、t-PAを投与できる診療体制とはどのようなものか。まず、t-PAを使用するための条件として、日本脳卒中学会が施設基準を定めている(図1)。t-PAの投与後は患者の神経症状や血圧などを24時間体制で見なければならず、脳卒中ケアユニットSCU、脳卒中専門のチームが治療を行う専用病床)や、それに近い体制を組まなければならない。さらに、頭蓋内出血が生じた時のため、脳神経外科医がすぐに駆け付けられる状態でなければならない。

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