日経メディカルのロゴ画像

パートの厚生年金加入拡大への懸念
運用の徹底で医師や医療機関の負担増も

 「パートタイマー厚生年金への加入範囲を拡大すべき」とした報告書が、3月6日、厚生労働省の社会保障審議会・年金部会でまとまった。施行はしばらく先になりそうだが、これまで「通常の労働者の4分の3以上」(一般的には週30時間以上)としていた加入要件を、「週20時間以上」に拡大した上で、賃金が一定以上のパートに限定して厚生年金に加入させる方針を打ち出している。ただし、中小企業は一定期間適用猶予とする方向だ。

 加入要件の詳細は報告書に明記されていないが、賃金は保険料算定に用いられる標準報酬等級の最低金額、「月収9万8000円以上」が有力視されている。一方、企業規模は、中小企業基本法に沿って「従業員300人」未満を適用猶予とする案が浮上している模様だ。

 医療機関の場合、少なくとも時給の高い看護師や薬剤師のパートは月収の条件には該当するだろう。しかし、従業員数の条件が巷間言われているように決まれば、病院や診療所の大半はこれに該当せず、当面パートタイマーを厚生年金に加入させる必要はない。事業主は保険料の半額を負担する義務を免れるのだ。

 厚生年金の保険料は、今は月収の14.642%だが、2004年の年金改革で、2017年度まで毎年0.354ポイントずつ引き上げられ、18.3%で以後固定されることが決まっている(詳しくは社会保険庁のホームページ参照)。保険料は、事業主と従業員が折半する決まりだから、もしパートタイマーを加入させることになったら、経営面への影響は少なくない。実際厚労省は、他の条件をつけずに「週20時間以上」に拡大すると、今の保険料率でも事業主の負担は年2200億円に上ると試算している。

 冒頭の報告書は、医療保険・介護保険についても、パートの加入範囲の拡大を打ち出している。それだけに、多くの医療機関が従業員数の条件に該当せず、今回は負担増から逃れられそうな状況であることのメリットは大きい。
 
社保庁の重点指導の“悪夢”再び?
 しかし、安心してばかりはいられない。報告書は改正を機に、パートタイマーの厚生年金の取り扱いについて、監視・指導を強力に行うなど運用面での徹底を打ち出しているからだ。改正そのものよりこちらの方が、医療機関をはじめ、企業に与える影響が大きいという見方がある。

この記事を読んでいる人におすすめ