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【日経ヘルスケア2月号●診療所経営相談室より】
過剰徴収した自己負担金を返金するには
案内は文書で、確実な返金が患者の信頼感の向上に

2007/02/08
日経ヘルスケア

【質問】
 当院では、医療費の請求ミスや保険者などによる減額査定で、患者負担金過剰徴収がまれに発生します。取り過ぎた分を患者に返したいのですが、どのような手順で返金すればよいでしょうか。(内科、52歳)

【回答】
 誤徴収の詳細を文書で連絡する
(回答者:中林 梓=ASK梓診療報酬研究所所長)

 大半の診療所では、医療費の請求ミスが生じたり、保険者などに診療報酬を減額査定された結果、患者から自己負担金を取り過ぎてしまった経験があるだろう。こうした過剰徴収分の返還は、患者から指摘がない限りうやむやになってしまうことが多いのが現状だ。

 ただ、保険者が定期的に各患者に知らせている医療費の通知と、診療所が発行した領収証を照合すれば、診療費の払い過ぎはわかる。また、昨年10月から全医療機関に医療費の明細を記した領収証の交付が義務づけられたこともあり、自己負担金に対する患者の目は年々厳しくなっている。過剰徴収は、以前に比べて発覚しやすくなっていることをしっかりと認識すべきだ。

 患者が過剰請求に気づいたときに、診療所から返金の連絡がなければ不信感を募らせるのは間違いない。医療機関側から患者に過剰徴収の事実を伝える法的義務はないが、道義上の問題からもきちんと返金を行いたい。

返金方法の選択肢はなるべく多く
 返金に際しては、まず患者へ過剰徴収の事実を伝える必要がある。伝達方法としては、電話や封書などが挙げられるが、口頭での説明となる電話では、請求ミスの内容が患者に正確に伝わりにくい。その上、患者が留守がちで直接話すために何度も電話しなければならなくなると、日常業務に忙殺されているスタッフは連絡を忘れやすくなる。

 こうした事態を避けるために、誤徴収の詳細を記し、患者宛てに文書を郵送するようにしたい。郵送料や文書作成の負担が生じるが、一般的な診療所であれば返金が生じる例はまれで、労力や費用は少ないだろう。あらかじめ文書を定型化し、記入の手間を省く工夫をすれば取り組みやすくなるはずだ。

 文書には、(1)請求ミスが生じた原因と謝罪の意、(2)誤徴収した自己負担金額と正しい金額、(3)返還する額、(4)返金方法の選択肢──などを記載する。特に、返金が発生した要因は、患者が理解できるように明確に記したい。

 返金方法の選択肢は、患者が金銭を受け取りやすいようにできるだけ多く用意しておく。具体的には、(1)次回の来院時の返金、(2)口座振込、(3)現金書留の郵送──などが考えられる。その上で、患者に受け取り方法を電話などで知らせてもらえばよい。

 迅速な返金も心がけておくべきだ。そのために、過剰徴収を伝える文書の作成や返還方法の問い合わせへの応対などを担当するスタッフを事前に決めておきたい。返金までの作業や手順をマニュアル化するのも一法だろう。特に、減額査定された結果、自己負担金の過剰徴収となった場合は、保険者のレセプト審査期間がある分、発覚自体が遅くなるので早急に処理したい。

 過剰徴収分の返金をきちんと行っていれば、患者も金銭面についてクリーンな医院との印象を抱くだろう。そうすれば、患者からの信頼感も増し、逆に自己負担金を過小に請求してしまった際も追加徴収しやすくなるはずだ。

【まとめ】
・診療所には患者に過剰徴収の事実を自主的に伝える法的義務はないが、きちんと返金を行いたい。結果、患者の信頼感の向上につながる。
・過剰徴収分の返還の案内は、文書で行うべき。電話で伝える手もあるが、口頭での説明になるため患者に正確に伝わりにくい。
・返金方法の選択肢は、患者が受け取りやすいようになるべく多く用意する。迅速に返還するために、作業手順などをマニュアル化しておくとよい。

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