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【日経メディカル Cadetto 連動企画Vol.7】
「安全性を求めるなら私を寝かせてくれ!」

 「安全性を求めるなら私を寝かせてくれ!」とストレートに今の気持ちを書いたのは、大学病院勤務の卒後6~9年目の小児科医。そのほか、「勤務医はほとんど全員過労」「過労死もそうであるが、医師のうつ病も増えてくるのではないか」など、長時間労働などによる医師のQOLの低下、ひいては医療の質の低下を招くという懸念が、 日経メディカル Cadettoの若手医師勤務実態調査では多数寄せられた。

 連動企画Vol.7では、調査の自由意見欄に寄せられた若手医師の声のうち、勤務実態関連のものを紹介する(調査の詳細は、Vol.1「U35」の若手医師の年収はいくら?を参照)。

 連動企画のVol.4やVol.5で紹介したように、U35世代は長時間勤務で、休日も十分には取得できないのが現状だ。これを反映して、自由意見で圧倒的に多かったのが、前述のように医師のQOL低下を訴えるものだ。医師のQOL低下は、医療の質の低下につながるため、早急な改善が求められるが、それがままならなければ勤務医の「立ち去り型サボタージュ」を招きかねない。

「多忙で医師のQOL、医療の質は低下」

卒後1~2年目
◆日本の医療システムは近年、アメリカの医療システムをまねてはいるが、医師のQOLという観点においては日本の従来の仕事第一主義で休みは許されないという風潮がある。医師のQOLという観点においてもアメリカを見習うべきだ。(卒後1~2年目・外科、大学病院)
卒後3~5年目
◆外来業務が長く、集中力の低下を招く(患者が多く、十分な休憩時間がない)。土日の休みがなく、慢性的な疲労がある。将来的には第一線の臨床医を目指したいと思っているが、多忙すぎること、必ずしも給与面に反映されないことなどを考えると、開業についても考えたいと思います。(卒後3~5年目・泌尿器科、市中病院)
◆ニーズやリスクマネジメントは欧米並みに求められてきているが、それに見合う労働環境が整備されていない。35時間連続勤務などにおいてもミスの危険度はアップするが、それに対する具体的な対策が見えてこない。特に勤務医の労働環境は劣悪であり、改善しないと今後日本の医療から必要な人材が流出すると考える。(卒後3~5年目・整形外科、市中病院)
◆ほとんど多くの病院は主治医制の故、患者の責任がすべて一人にかかってきて、休日でも夜間でも実質24時間拘束されているようで、ストレスが多い。チーム医療で医師一人にかかる負担を軽くする必要があると思う。複数の医師が患者に接することでより多くの意見が治療によく反映されたり、交代で確実な休みも取れて、ミスも減らせると思う。ダブルチェックにもなる。(卒後3~5年目・内科、市中病院)
◆勤務医はほとんど全員過労である。医局制度はもっと見直されていいと思う。医師の修練の場としてベストとは言わないが、ほどほどにいい場所だと思う。(卒後3~5年目・その他、市中病院)
◆病院は事務員に対しては労働基準などの保護を行うが、医師に対しては全く考慮しない。スタッフ4人で当直を行っているのに、労働条件は何も改善しようとしない。誰かが倒れると思う。(卒後3~5年目・その他、大学病院)
◆変化し続ける世情に対し、医療界はあまりにも保守的、封建的であり、そのギャップが中堅~若手医師にのしかかっているように感じます。昔のように医師の存在は絶対的ではなく、対「患者様」の存在であり、また訴訟問題を防ぐために煩雑な仕事が増えつつあるのも確かで、勤務スタイルなど改善すべき点は多々あるものの、追いついていない状況と考えます。患者のQOL改善のためには患者と向き合える心のゆとりが必要で、そのためには医師のQOL改善を確保するのも重要だと思います。(卒後3~5年目・麻酔科、診療所)
◆ほとんどの勤務医は拘束時間が長く、安月給で働きづめである。過労死もそうであるが、医師のうつ病も増えてくるのではないか。休日がなければ、精神的にも追い込まれることになる。また女性医師が増える一方で、産休や職場復帰のための選択肢が限られている。今後、改善すべきことはたくさんある。(卒後3~5年目・耳鼻咽喉科、市中病院)
◆非常に多忙で、一番下のヒエラルキー。自分の意見など通らず、雑用が多い。収入が少なく、疲労もたまり、悪循環から脱出できない。精神、体ともに限界で、転職も考えている。(卒後3~5年目・内科、市中病院)
◆現在は月7~8回の日当直と月10回の呼び出し当番で、非常に多忙な生活ですが、将来的には育児と仕事の両立ができる職場に勤務したいと考えている。(卒後3~5年目・麻酔科、市中病院)
◆医師数が足りない。夜間の呼び出しがつらい。医師数を十分に確保できれば当番制で回せる。(卒後3~5年目・精神神経科、市中病院)
卒後6~9年目
◆安全性を求めるなら私を寝かせてくれ!(卒後6~9年目・小児科、大学病院)
◆現在、訪問診療のクリニックの勤務医を週5日、他に定期非常勤のバイトを週1日やっています。今後、医療費の削減が進み、労働環境の悪化や訴訟のリスクが増してくることを考え、早期のセミリタイアも視野に入れています。(卒後6~9年目・内科、診療所)
◆勤務は月~金が8:15~17:15までですが、担当患者さんがいますので、土日も診察し、必要であれば病院内で経過観察します。土日も含め、日当直が5~6回/月ですので、翌日が仕事であることがしんどいです。今後のキャリアパスとしては、自分の科と他科との境界領域をより勉強し、各分野での最新の治療・トピックスを把握し、自分の科のマンパワーを増やすべく、後輩の指導に当たっていきたい。(卒後6~9年目・小児科、市中病院)
◆当直明けの休みなど、形式的には取ることを勧めているが、実際には取れない。中期的な休日がもっと取りやすいようにしてほしいと考えている。また小児科のため最近は夜間のコンビニ外来化が激しい。夜間でも十分なサービスを求めるため、こちら側の精神的、身体的ストレスは大きい。(卒後6~9年目・小児科、市中病院)
◆通勤時間、勤務時間をトータルすると、まず自分の時間がない。さらに当直では眠れず、休日も少なく、当直回数だけは多く、低収入。第一線の臨床医でいたいが、人事には従わなければならない。このように劣悪な状況でも、自分で扉を開ける勇気がない。良い条件の病院があれば、と考える日も多い。(卒後6~9年目・外科、市中病院)
◆休日の取り方や自分の個人としての充実した時間の確保(海外へ行き、知識やいろいろなことを知る機会)が難しい。このままリタイアするまでずっと診療を続けていく人生へのムダな希望を捨てきれない。(卒後6~9年目・内科、診療所)
卒後10年以上
◆3月まで地方都市の中核病院で耳鼻科の1人医長でした。1人で外来、入院、手術をすべてこなさなくてはならず、科長として月数回の会議に出席。その上、当直も月2回こなしていた。こういうケースは決して珍しくなく、体がもたない。幸か不幸か親が倒れて後を継いだが、今後は開業か、医師数が多く、施設の充実した勝ち組の病院へ就職の二極化が進むと思う。(卒後10年以上・耳鼻咽喉科、診療所)

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