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【米国から学ぶ――医療の質向上を目指して 第20回】
リスク調整済死亡率の一般公開で成績改善へ

2006/10/19
埴岡 健一=日経メディカル編集委員

 米国のニューヨーク州やニュージャージー州、カリフォルニア州などでは、心臓外科手術に関して、手術の難易度でリスク調整をした「術後30日死亡率」を、医師・施設別に一般向けに公開している。一方、米国の学会(米国胸部外科学会:STS)は、同様の死亡率を算出しているものの、参加施設に結果を教えるだけで、一般向けには明らかにしていない。先進的な州政府は、それより先の段階である公開まで踏み込んでいるのだ。

 こうした一般公開に先鞭をつけたのはニューヨーク州だ。1989年に、冠動脈バイパス手術に関して、州内で実施される全症例について、医師・施設別のリスク調整済死亡率のデータを収集し始めた。90年には、そのデータに基づいて、著しく死亡率が高かった施設の冠動脈バイパス手術を停止するように命じた。91年にはこのデータベースの情報を開示することを求める訴訟が起こり、州は開示に応じるようになった。そして、92年からは州政府が毎年、自主的にリポートを出すようになった。

 ニューヨーク州に続き、ペンシルベニア州、カリフォルニア州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州などが情報公開を始めている(下記、リンク集参考)。米国では州政府の独立性が高いため、州ごとに開示への積極性やその方法は異なる。ニュージャージー州は、ニューヨーク州と同じく、施設別と同時に医師別成績も出している。ペンシルバニア州は、成績の実数は示さず、統計学的に処理した成績が「有意に良い」「普通」「有意に悪い」の3段階表示のみ。マサチューセッツ州、カリフォルニア州、テキサス州は、医師別成績は開示せず、施設別成績だけの表示となっている。

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