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救急現場で精神疾患を簡便に評価
外見や言動をチェックするスケールの試用始まる

「精神科疾患が絡むと判断に困ることが多い。何かか便利なものがないかと思っていた」と語る熊本市消防局の鎌畑博司氏。

 「20歳代の男性が川の真ん中に立ち尽くして動こうとしません」。約3カ月前、通行人から熊本市の救急司令部へ通報が入った。救急隊が現場に出動したところ、髭も頭髪も伸びきって3~4日は入浴もしていないような脂ぎった顔の青年が、ドブ川の真ん中に立っていた。声をかけても、呆然とした表情で視線も合わず、ぶつぶつと宙に向かって会話を続けるばかり。陸に上がるよう誘導を繰り返したが、腕を振り払って川の深みに向かっていこうとした。青年の協力が得られないため、警察官に応援を仰ぎ救急車で搬送。車内での診察では、体温37.3℃とやや体温上昇を認め、項部硬直も否定はできなかった。患者の意識レベルはJapan Coma ScaleJCS)でI-1と判断した。

 しかし、これまでは「患者の精神的な状況をどう判断したらいいのか分からず、搬送先の医療機関に、現場で起こっていることをうまく言葉で表現して伝えるのも難しかった」(熊本市消防局救急救命士の鎌畑博司氏)。

救急で対応に最も困るのは精神科疾患
 救急医療の現場では、JCSのように意識レベルを評価し伝達するプレホスピタルレコードはあるが、精神疾患に関しては指標がなく、個人の経験や勘に基づいて精神状態を判断しているのが現状だ。

 一方で、「救急隊員が現場で最も対応が難しいと感じているのは精神科関連の患者」(熊本大病院こころの診療科の橋本聡氏)。しかも、社会的入院を減らす目的での精神科病床削減への動きと、うつ病などの精神疾患増加が相まって、遭遇する機会は年々増えている。

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