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【日経ヘルスケア21 9月号●診療所経営相談室より】
受付業務を手伝う家内に問題が
スタッフとの間にあつれきが生じ、1年間に5人が退職

2006/09/07
日経ヘルスケア21

【質問】
 家内に受付業務を手伝わせているのですが、他のスタッフとの間にあつれきが生じ、それが主な原因で、この1年の間に5人の職員が退職してしまいました。この状態をできるだけ早く解消したいと思っているのですが、家内をどのように処遇すべきか悩んでいます。
(耳鼻咽喉科、44歳)

【回答】
 “裏方業務”を担当してもらう。
(回答者:田中 徳一=(株)西日本総研シニアマネージャー)

 受付や診療補助などの院内業務に携わる院長夫人とスタッフとの間に、不和が生じるケースはよく見受けられる。院長の威光をかさに着てあれこれ指図を与える夫人の下で、スタッフが過度のストレスを感じてしまうのが主な原因だ。さらに、夫人が業務に精通していないと、職員は夫人をフォローしなければならず、より神経を使うことになる。

 もちろん、夫人の中にも優れた人は多くおり、院長の“右腕”として運営をサポートしてもらえば非常に心強いのは確か。ただ、前述のような問題が起こりがちなのもまた事実で、原則としては、夫人に院内業務に携わってもらうべきではないと考える。だが、人手の足りない開業時などに現場の職務を一度担当させてしまうと、辞めてもらうのはなかなか難しいだろう。ならば、現場から離れた重要な業務を夫人に任せるのも一つの手だ。

 例えば、職員の給与計算や医療材料・医薬品の発注業務といった“裏方業務”を担ってもらうことをお勧めしたい。診療所の運営において不可欠なこれらの業務を一任すれば、仕事に対する夫人の意欲に応えられると同時に、他の職員との接点を減らせる。そうすれば、夫人とスタッフとのあつれきも未然に防げるはずだ。

 その上で、人手がどうしても足りないときだけ現場の業務を手伝ってもらえばよい。この程度であれば、職員にはそれほどストレスを与えることはないだろう。

条件付きで業務を任せる
 だが、院長がいくら説得しても、現場の業務にどうしても携わりたいと主張する夫人も少なくないはずである。この場合はいっそのこと、その業務を完全に夫人に担当してもらってはどうだろうか。院長は一切口を挟まず、その部門におけるスタッフへの指示や業務の管理などを夫人にすべて手がけてもらうのである。

 職員を混乱させる原因の一つは、指示・命令系統が院長と夫人の二本あることだ。さらに、二人の指示の内容が食い違っていると、混乱の度合いは一層大きくなる。そこで、夫人からの指示だけに統一すれば、このような問題はある程度解消されるはずだ。

 ただし、その際には院長は夫人に対して、(1)他の職員と同様、必ず院長へ業務報告を行う、(2)管理者にふさわしい知識・技能を習得する努力をし、職員以上によく働く、(3)しかるだけでなく、職員を絶えず激励することの大切さを意識する―の3点を徹底させなければならない。

 業務中に院長が夫人を特別扱いすれば、他の職員から大きな反発を買いかねない。さらに、夫人がリーダーシップを発揮できなければ、スタッフはもともと、優遇された存在として夫人をとらえている分、指示に従おうという意識は希薄になりがちだ。

 繰り返しになるが、重要なのは、夫人を他の職員と同等に処遇すること。職員としての自覚を持ってもらうため、夫人を、接遇マナー研修や診療報酬改定の勉強会などにスタッフと一緒に参加させるのもいいだろう。

【まとめ】
・スタッフとのあつれきを防ぐためには、原則として、夫人には院内業務に携わってもらうべきではない。
・業務を辞めさせるのが難しい場合は、職員の給与計算といった“裏方業務”を担ってもらい、職員と接する機会の多い現場から離れてもらうようにする。
・特別扱いせずに一職員としての自覚を持ってもらい、職員以上に努力することを条件に、現場の業務管理を完全に任せるのも一法。

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