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【日経メディカル8月号特集連動企画 市中肺炎】
高齢者で肺炎球菌のニューキノロン耐性高まる

図1 肺炎球菌およびインフルエンザ菌の各薬剤に対する耐性率(薬剤感受性サーベイランス研究会のデータに基づき編集部で作成)

 高齢者で重症化しやすい肺炎では、ニューキノロン系薬が効かなくなることが最も懸念されている。しかし、このままではその懸念は現実のものとなるかもしれない。

 全国の医療機関で組織する「薬剤感受性サーベイランス研究会」(会長:中浜医院(大阪市旭区)院長の中浜力氏)が2005年に行った調査によると、ニューキノロンの1つであるレボフロキサシンに耐性を獲得した肺炎球菌の割合が、65歳以上の患者で6%近くに達していることが判明した(図1)。ニューキノロン耐性肺炎球菌の割合は従来は1~2%とされていたが、高齢者に限ればそう安穏としていられない状況になったといえる。

 また、肺炎球菌では経口セフェム系薬に対する耐性化も顕著だ。セファクロル、セフポドキシム、セフジニルなどの耐性率を見ると、患者の半数がこれらの薬剤では治りにくくなっているという事態が起きていると想定できる。

 一方、インフルエンザ菌ではまだニューキノロン系薬に対する耐性化は進んでいないが、一部の経口セフェム系薬(特にセファクロル、セフジニル)で耐性化が顕著だ。

市中肺炎ガイドラインが改訂
 こうした耐性化をこれ以上助長しないためには、「成人市中肺炎ガイドライン」を参考に薬剤を選択することが重要だ。同ガイドラインは昨年10月に改訂が行われ、薬剤選択に変更が加えられた。

 今回の変更点で最も注目すべきなのは、肺炎球菌性肺炎と推定される場合に、経口ペニシリン系薬(アモキシシリン)の高用量が第1選択とされていることだ。PRSPの増加によって、ペニシリン系薬が効かないというイメージが先行しているが、実際には図1のようにアモキシシリンの効果は高い。加えて、ペニシリン系薬は副作用の心配が少ないため高用量で投与することが可能で、「ペニシリン高用量」が第1選択となっている。

 インフルエンザ菌による肺炎が含まれるであろう細菌性肺炎疑いの場合でも同様だ。エンピリック治療およびインフルエンザ菌に対する第1選択薬としては、ペニシリン系薬が推奨されている。もちろん、インフルエンザ菌であることが判明した時点で、第2~3世代の経口セフェム系薬やニューキノロン系薬の使用も可能となる。

 なお、高齢者では非定型肺炎の可能性を考慮して、マクロライド系薬やテトラサイクリン系薬も推奨されるなど、現実に即したガイドラインとなっている。

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