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【日経メディカル8月号特集連動企画 急性中耳炎】
“治らない”“繰り返す”が深刻化する乳幼児

図1 耳鼻咽喉科領域における耐性菌検出状況 (耳鼻咽喉科感染症全国サーベイランスによる。※BLPAR:βラクタマーゼ産生アンピシリン耐性。出典:日耳鼻感染症誌2000;18:48-63、同2004;22:12-23)

 小児の急性中耳炎がなかなか治らない。治ったと思ってもすぐに繰り返す――。ここ数年、プライマリ・ケアの現場ではこうした困惑の声が増える一方だ。本来なら予後良好な急性中耳炎が難治化・遷延化する一因となっているのが、主要起炎菌である肺炎球菌インフルエンザ菌の著しい薬剤耐性化だ。

肺炎球菌の8割が耐性化
 肺炎球菌の薬剤耐性はペニシリンGへの感受性(最小発育阻止濃度:MIC)を基準に決められており、感性菌(Penicillin susceptible Streptococcus pneumoniae:PSSP、MIC≦0.06μg/mL)、軽度耐性菌(Penicillin intermediately resistant S. pneumoniae:PISP、MIC 0.125~1μg/mL)、耐性菌(Penicillin resistant S. pneumoniae:PRSP、MIC≧2μg/mL)に分類される。乳幼児の耳鼻科感染症では、PRSP、PISPの検出頻度が既に8割近くに達している(図1左)。

 一方、インフルエンザ菌の薬剤耐性は、欧米ではβラクタマーゼ産生によりペニシリン系薬に耐性を示すものが主だが、わが国ではここ6~7年で、βラクタマーゼ産生以外の機序でβラクタム系薬に広く耐性を示す、βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性(β-lactamase non-producing ampicillin resistant:BLNAR、MIC≧2μg/mL)が急激に増加し、問題となっている(図1右)。

 とりわけ、0~2歳の乳幼児で耐性菌の検出頻度が高いのが特徴で、その理由としては、(1)0歳児からの集団保育の増加による感染機会の増加、(2)免疫応答が未熟なため、鼻咽腔に細菌が定着しやすく、抗菌薬投与による耐性化やウイルス感染を契機とした増殖が容易に起こる――などが指摘されている。

 こうした現状を踏まえ、小児の急性中耳炎の第1選択薬として挙げられるのは、アモキシシリンだ。PRSPやBLNARはセフェム系を含めたβラクタム系薬に広く耐性を示す多剤耐性菌だが、ペニシリン系薬は、セフェム系薬に比べて殺菌力が強く、組織移行性にも優れている。中でもアモキシシリンは、高用量で用いればPRSPに対して十分な中耳濃度が得られることが分かっているためだ。特に、今年上市された小児用のクラブラン酸・アモキシシリン配合薬(商品名クラバモックス)は、アモキシシリン90mg/kg/日の高用量投与が可能なため、耐性菌事情に詳しい耳鼻科医から高い評価を得ている。

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