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【米国から学ぶ――医療の質向上を目指して 第15回】
「がん施設認定制度」の日米比較

 日本の「地域がん診療連携拠点病院」(以下、がん拠点病院)がこのほど大量に増えた。しかし、まだ、そこで行われる診療の質の高さを示すようにはなっていない。「がん施設認定制度」で大きく先行する米国と比較してみると、がん拠点病院制度の今後の課題が明らかになる。

 日本のがん拠点病院はこれまで40都道府県135カ所だったが、7月28日に開催された厚生労働省の検討会は、新たに42カ所のがん拠点病院を追加指定し、がん拠点病院は45都道府県177カ所になった。地域格差が大きい癌診療を“均てん化”(全国どこでも質の高い癌医療を受けることができること)するために、全国にがん拠点病院のネットワークを形成することを最重要施策の一つとしているが、今回の追加指定でそれが一歩進む。

 もっとも、がん拠点病院制度が定着したかというと、まだそこまでの道のりは遠い。何よりも、「指定=質の高い癌診療を保証」となっていないからだ。患者にとっては、指定の有無を病院選択の判断の大きな材料とするのは、まだ危険だ。指定を受けても、質がおぼつかない病院がある一方で、比較的高い質を提供していながら指定を受けていない病院もある。

 また、今回の指定では、従来より基準を厳しくした新指針( http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/02/tp0201-2.html )が適用された。しかし、既存の約130施設は旧指針(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/07/s0713-6g.html)で評価されたままで、2008年春までの経過期間については、新指針を満たしているかどうか分からない。要するに日本のがん拠点病院は“玉石混交”なのだ。

 28日の検討会は、100カ所以上の申請をわずか1時間程度で審査。事務局が添付した要約から判断し、申請書そのものを見ていない委員もいる。そもそも新指針は、多くの項目があいまいで、かつ必須条件でなく努力項目も多い。しかも今回は、医療スタッフ数、治療経験数、医療の質などの総合的な癌診療能力を判定することには取り組まず、指針に挙げられた項目のうち「院内がん登録システム」「緩和ケアチーム」「相談支援体制」の充足度だけに着目して審査した。

 均てん化のためには指定施設を増やさなければならないが、指定できるような施設が現状では多くはないため、「指定したあとで内実を伴わせていく」というアプローチを選択している。それだけに、実際にそうなっていくか、フォローアップが重要となる。

 表1のように日米の制度を比較してみると、日本の制度自体がまだ試行段階であり、指定といっても暫定認定と考えた方がいいことが分かる。米国では認定要件を詳細に決めており、施設訪問を伴った審査が行われる。完全認定だけでなく、暫定認定も設定されている。また、厳しい更新制度が確立しており、毎年、撤退施設が出る。

 さらに、手術件数、生存率などのデータ提出義務があり、それが集計された後で各施設に定期レポートが届けられる。一方で、生存率は癌種別に、全体、州別、病院別などのさまざまな切り口で算出できるようになっており、誰でも学会のホームページで閲覧・検索できる。生存率が低い場合は、更新時の施設訪問でその理由が調査される。要するに米国では、診療の質を管理するための努力がなされているため、認定施設における一定レベル以上の診療の質が保証できる仕組みになっている。

 次回は、米国のがん施設認定制度のポイントを詳しく見る。

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