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【日経ヘルスケア21別冊「拡大するシニアリビング・マーケットvol.2」より】
医師が“作る”有料老人ホーム
制度激変を背景に高齢者住宅事業に脚光

 2007年から医療法人による有料老人ホーム経営がいよいよ解禁される。これにより、医療機関が、有老ホームなどの高齢者住宅を経営する時代が本格的に到来する。解禁に先駆ける形で、関連会社などで高齢者住宅事業に参入した医療機関も既に数多くある。医療機関にとって高齢者住宅を持つことのメリットは何か、医師が“作る”ホームは激戦の業界で果たして勝ち残ることができるのだろうか。

療養病床から有老ホームに転換
 医療法改正で医療法人に有老ホーム経営が認められることになった背景には、療養病床の削減策がある。療養病床の転換先として、介護老人保健施設や有老ホームが想定されており、その“地ならし”が行われた格好だ。病室を有老ホームの居室にスムーズに転換できるのか、民間企業に負けないホームが果たしてできるのか――といった、転換の際に生じる問題はさておいて、医療機関に有老ホーム経営の門戸を開いた意味は大きい。

 有老ホームの経営コンサルティングを行うタムラプランニング&オペレーティング(東京都千代田区)社長の田村明孝氏は「入居者は、高齢者住宅にターミナルまで面倒をみてくれる“終の住み処”であることを期待する。従来のホームは、ターミナルの医療・看護体制に不安があった。医療機関が取り組むようになれば、医療・看護体制がしっかりしたホームも出てくるだろう」と期待を寄せる。

厚労省の在宅推進施策も後押し
 もっとも、医療法人での経営解禁を待つまでもなく、既に多くの医療機関が別会社などで高齢者住宅事業に参入している。その動きは2000年に介護保険制度がスタートしてから、顕著となっている。
 
 かつて、バブル経済前後に、医療機関が関連法人で有老ホーム事業に参入するブームがあった。当時は複合体化の一環であり、健常高齢者の居住施設を整備するのが主な目的。医療・看護体制まで目が行き届いていなかった。
 
 しかし、今度のブームはそれとは事情が全く異なる。自ら在宅医療や介護事業に取り組む中で、高齢者住宅の必要性を感じ、事業参入するケースが多い。「在院日数短縮の影響で、医療依存度が高い患者も病院から退院を余儀なくされる。自宅でも老健や特養でも生活が無理という高齢者が、ターミナルまで生活できるのはもはや高齢者住宅しかない」と愛知県一宮市の森中央クリニック院長の森健次氏は話す。
 
 厚生労働省も、介護保険制度において、有老ホームをはじめとする居住系サービスの充実に施策をシフトさせている。片や、2006年春の診療報酬改定においても、在宅医療に取り組む診療所を高く評価するとともに、終末期医療は在宅重視の方向性を明確に打ち出した。医療機関が高齢者住宅を自ら経営し、そこで介護からターミナルケアまで提供する――というビジネスモデルが成立する時代となったのだ。

目立つ診療所が取り組むケース
 実際に、医師たちがどんな高齢者住宅を作っているかは、「拡大するシニアリビング・マーケットvol.2」の特集記事を読んでいただくことにして、ここではその主な特徴を整理しておく(表1)。

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