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滋賀医大主導で不整脈治療の病診連携
携帯型心電計が患者の紹介をスムーズに

写真1 携帯型心電計「HCG-801」 左乳頭直下に当てて測定。心電図データは32M以上のSDカードで300回記録可能。インターネットや薬局で患者自身も購入可能。メーカー希望小売価格は3万6750円。

 病院に通院中の不整脈患者。容体も安定してきたので、地元の診療所に逆紹介したいが、その後の患者の管理や病診間の情報交換を効率よく進めるために何か良い方法はないものだろうか--。

 病院の循環器科が抱えるこのような問題を解決するためのシステムが、この秋、滋賀県でスタートする。滋賀医大呼吸循環器内科が主導する「さざなみプロジェクト」だ。最大の特徴は、病診連携のツールとして「携帯型心電計」を使うこと。携帯型心電計とは、患者自身が携帯し、胸部の症状が出現した時に自分で心電図を記録するための小型装置だ。

 例えば、不整脈患者を病院が逆紹介する際に患者に携帯型心電計を持たせれば、症状出現時に心電図が記録できるので、診療所での病態把握や診断が容易になる。また診療所から病院に再度紹介する場合なら、携帯型心電図本体を患者本人に持たせ、それまでの心電図データを共有するという使い方も考えられる。有症状時の心電図が記録でき、しかもそのデータを持ち運べるという携帯型心電図の利点を最大限に生かした、新しい病診連携システムだ。

心因性の動悸の説明にも有効
 このプロジェクトが発足するきっかけとなったのは、昨年春に同外来が購入した3台の携帯型心電計。オムロン ヘルスケアが昨年1月に発売したものだ。「従来、胸部症状を訴える患者には、24時間のホルター心電計で検査を行っていたが、検査時に必ずしも胸部症状が出るとは限らず、ホルター心電計の限界を感じていた」(助教授の伊藤誠氏)。

 そこで動悸や胸痛を訴える患者に2週間ほど貸し出し、胸部症状が出た際に患者自身が胸に当てて測定させることにした。測定データは心電計に記録されるので、患者はそれを持って来院。医師またはスタッフがパソコンに接続すると、患者が自覚症状を訴えた時点の心電図がモニター上に表示されるという仕組みだ。

 この装置を取り入れた結果、ホルター心電計では発見できなかった発作性上室性頻拍を見付けるなど、診断に有用だった症例を多数経験している。

 一方、外来で使用していくうちに、本来は心疾患ではないのに、動悸などを訴える患者への説明にも有用性が高いことが分かってきた。例えば、毎日のように自覚症状を訴える患者に貸し出したところ、動悸時に取った心電図データがいずれも正常洞調律であることが確認され、視覚的に説明して患者に納得してもらったという。

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