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高血圧発症へのRA系関与が鮮明に
ASH2006でTROPHYサブスタディーの成果が初報告

 5月16日から20日までの5日間にわたって、ニューヨークで米国高血圧学会第21回年次学術集会「ASH2006」が開催された。中でも注目を集めたのが、臨床試験TROPHY」の結果報告。今期のASHで単独の臨床試験名がついた唯一のセッションであったことからも、関心の高さがうかがえる。このセッションでは、正常高値血圧者に対するアンジオテンシンII受容体拮抗薬ARBカンデサルタン糖尿病発症抑止効果をみたTROPHYサブスタディーの結果が初めて報告された。

 TROPHYは、米国高血圧ガイドライン第7版(JNC7)が規定するPre-Hypertension群(120~139/80~89mmHg)の高値群(130~139/85~89mmHg)を対象に、プラセボ、またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)のカンデサルタンを投与し、2年後と4年後の高血圧新規発症率を検討した臨床試験。この血圧範囲は日本高血圧学会の定義(JSH2004)で正常高値に相当する。

 TROPHYメーンスタディーの結果は、今年3月に米国アトランタで開催された米国心臓学会議(ACC2006)で、試験の総括者でもあるミシガン大のStevo Julius氏が報告、高血圧の発症前にアンジオテンシンIIの活性が亢進し、それが高血圧の発症に関与していることを示した試験として注目された。

 Julius氏は、ASHのWilliam Harvey賞受賞講演の中でもTROPHYの試験成績を引用し、「高血圧の発症には血管のリモデリング交感神経系の活性化などが深く関与している」とした。そのどちらに対してもアンジオテンシンIIがかかわっていることは、過去の基礎研究で明らかにされている。これまで明確な指針が得られていなかったPre-Hypertensionに対する介入のエビデンスとしても高い関心を集めた。

 Pre-Hypertensionでは、アンジオテンシンIIの活性化によって、高血圧と診断される前から脳や心臓、腎臓などの臓器障害が進行している可能性がある。このため、脳・心血管系イベントを予防するためにも、早期からアンジオテンシンIIを抑制する降圧療法が重要と考えられた。

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