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【日経メディカル6月号特集連動企画】
患者はなぜ怒るのか(現状編)

 『日経メディカル』6月号の特集テーマは「患者はなぜ怒るのか」。怒りをあらわにして医療従事者に対応を迫る患者の現状と対応について取材したので、今回はその現状について概略を紹介する。

 「医師が上、患者が下という関係は確かによくない。けれど今は、上下が逆転して医師が下、患者が上であるかのように感じてしまう」と、今回取材した医師の一人がしみじみと語っていた。この医師は、院内で怒鳴り散らす患者に対して、他の患者もいるので静かにするよう注意したところ、「おれは患者だ」と居直られた経験を話してくれた。

 怒りが暴力に発展するケースもある。ある大学病院で、看護師に対してアンケート調査を行ったところ、過去1年間に患者から暴力を受けた経験があると答えた看護師が67.6%に上った。なんと3人に2人が、患者から殴られる、大声で怒鳴られる、あるいはセクハラの被害を被っていたのだ。

 なぜ、こんな風になってしまったのか。振り返ってみるとここ数年、象徴的な出来事が幾つも起こっている。たどりついたのは、医療消費者というキーワード。患者は今や、ひ弱で従順なpatient(我慢する人)ではなくなりつつある。

 もちろん、暴力やセクハラはよくない。医療従事者は断固としてノーと言うべきだ。しかし、怒れる患者のことを「非常識」「けしからん」などと全否定してもらいたくはない。現在起こっていることは、かつてのパターナリズムに基づく医師患者関係の中では言えなかったこと、言いたくても我慢していたことが、ようやく表に出てきたとも言えるからだ。医療事故に関する報道の増加やインターネットの普及も、影響を及ぼしているに違いない。

 怒れる患者の出現は、医師患者関係が新たなモードに突入したことの表れだ。もう、元には戻れない。

※6月号特集連動企画の第2弾として、“怒れる患者”に対する「対策編」を当サイトで掲載する予定です。

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