
「表皮ブドウ球菌の増殖を防げば、汗をかいてもあせもは発症しにくくなるのは確かだろう」と話す徳島大の滝脇弘嗣氏。
これから夏に向かって増えるあせも(汗疹)は、乳幼児に多い皮膚疾患だ。不快感や掻痒感も強いため、掻破などが原因でとびひ(伝染性膿痂疹)やあせものより(多発性汗腺膿瘍)を起こすこともある。よく目にする疾患ではあるが、意外にもあせもを引き起こす“犯人”はあまり知られていない。
あせもの発症に表皮ブドウ球菌が関わっていることは、ベトナム戦争時代に米国の研究によって示唆されていたが、その後、研究は進んでいなかった。今回、徳島大皮膚科助教授の滝脇弘嗣氏は、新潟大、ユニチャーム、三菱化学ビーシーエルと共同で、あせもの発症は表皮ブドウ球菌の増殖が大きな原因であり、表皮ブドウ球菌の増殖を抑制すればあせもの発症を減らせることを実証した。