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【米国から学ぶ――医療の質向上を目指して 第9回】
テキサスにもトヨタの「カイゼン」上陸
(6/20 訂正)

写真1 シアトル市のバージニア・メイソン病院でカイゼンを教わったジム・アーサー氏

 ワシントン州シアトル市からテキサス州ヒューストンに移動して、世界ナンバーワンの癌病院として常に注目を浴びているM.D.アンダーソンがんセンターを訪問した。

 業務カイゼン担当者であるジム・アーサー氏(写真1)に会い、同病院の活動について尋ねた。するとアーサー氏は、シアトル市のバージニア・メイソン病院の「カイゼン」実施イベントであるRPIW(行程迅速化カイゼン週間。連載7参照)に出席し、バージニア・メイソン病院のスタッフと同じチームメンバーとして、実際のカイゼンに取り組んだことがあるという。「病院カイゼン活動で大きく先行するバージニア・メイソン病院から学びたかった」と、RPIW出席の理由を語る。

 アーサー氏にRPIWでどんな活動をしたのか尋ねてみたところ、初日の午前にカイゼン理論を学び、その日の午後には与えられた課題を持って、医療現場に赴いたという。現状を観察するだけでなく、実際にストップウォッチを持って時間も計測。2日目には、もう仮説を立てて、それを検討していった。そして1週間で、以前とは全く異なる診療業務の流れを作り込んでいった。

 このバージニア・メイソン病院での1週間は、アーサー氏にカイゼンの有効性を確信させた。バージニア・メイソン病院からM.D.アンダーソンがんセンターに専門家に来てもらってアドバイスを受けるなどの交流を進めながら、M.D.アンダーソンがんセンター内にもカイゼン文化を定着させたいと考えている。

 アーサー氏が擁するカイゼンチームのスタッフは8人。成功例の一つは、検査検体の輸送スピードアップ。採血した血液、生検した組織、穿刺で得た骨髄など、採取した検体をすぐに検査室に運んで検査を始めるべきだが、実際は検査室行きの箱に入れたまま放置されていたり、間違ったところに行ってしまったりすることも多かった。そこで、インディアナ大の生産工学の専門家のアドバイスを受け、製造業用のシミュレーションソフトで検体の動きを検討し、現場のスタッフの意見を集めて、検体の提出、ピックアップ、運搬の流れを新しく設計し直した。その結果、検査室に届くまでの時間は見事に短縮された(表1)。

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