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 「この薬は、禁煙を望むスモーカーにとって、確実に福音になる」。そう断言するのは、東京都世田谷区で開業する医師の永倉俊和氏(用賀アレルギークリニック院長)。「この薬」とは、米ファイザーが開発した、経口禁煙治療薬バレニクリン」のことで、米国での臨床試験では従来よりも高い禁煙成功率を達成できることが明らかになり、注目を集めている。永倉氏は、同薬の国内での臨床試験に参加した医師の一人だ。

 バレニクリンは、ニコチン受容体部分作動薬と呼ばれる。ニコチン依存形成には、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体が関与することが知られているが、バレニクリンは、このα4β2ニコチン受容体と部分的に拮抗することで、ニコチンの作用を遮断し、喫煙によって得られる満足感を抑える。一方で、部分的にこの受容体の刺激作用も発揮するため、禁煙時の離脱作用を緩和する。つまり、バレニクリンを服用すると、タバコを吸っても満足感が得られなくなると同時に、不快な離脱作用も抑えられるため、禁煙が長続きするというのだ。

2割以上が10カ月間の完全禁煙に成功
 米国で行われた臨床試験では、2000人以上の喫煙者をバレニクリン(2mg/日)群、対照薬のブプロピオン(300mg/日)群、プラセボ群の3群に割り付けて、それぞれ12週間投与した。服用開始後、第1週を禁煙開始目標とし、服用終了後も第52週まで追跡した。また、薬物治療と並行して定期的なカウンセリングも行った。

 主要評価項目は、治療期間最後の4週間(第9~12週)の持続禁煙率(タバコをひと吹かしもしなかった被験者の割合)とし、副次評価項目は、第9~52週の持続禁煙率とした。禁煙の確認は来院時の呼気中CO濃度(≦10ppm)測定で行った。なお、対照薬のブプロピオン(グラクソ・スミスクライン)は日本未発売の抗うつ薬で、欧米では経口禁煙治療薬としても使われている。

 この結果、第9~12週の持続禁煙率は、プラセボ群で17.7%、ブプロピオン群で29.7%だったのに対し、バレニクリン群では44.2%と大きく上回った(図1-1)。第9~52週の持続禁煙率も、プラセボ群9.4%、ブプロピオン群15.7%に対し、バレニクリン群は22.5%と高く、5人に1人強がおよそ10カ月間タバコをひと吹かしもしない禁煙に成功していた(図1-2)。

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