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【マイナス3.16%の深層 第5回】
生活習慣病は「管理」料でいいのか?

「指導」と「管理」、果たして医師は区別できるか。

 「指導管理等」から「医学管理等」へ--。連載第1回目で触れたように、診療報酬点数表の第2章第1部の名称が変更された。今改定では、「患者から見て分かりやすい」を旗印に診療報酬体系の簡素化が図られたが、その一環として、個々の項目名が、実際に提供される医療の内容を分かりやすく表記したものになっているかどうかが点検され、必要な見直しが行われている。

 「指導」という文字を削除したことについて、厚生労働省保険局の担当官は、患者との金銭面でのトラブル防止に加え、「(患者から見て)何もしていないように見えても、医師はいろいろなことをしている」ことを言外に示す趣旨だと点数表の説明会で述べた。指導管理等には相応の点数が付いており、これまで「何も指導された覚えはないのに、患者負担を取られた」とのクレームが出ていた。

 もっとも、個別の項目名には、「指導(管理)」と「管理」とが混在している(表参照)。外来で算定できる点数で見れば、肝炎などのウイルス疾患やてんかんは「指導料」、心臓ペースメーカーや高度難聴は「指導管理料」だ。これらに対し、「管理料」が使われている代表例としては、「生活習慣病管理料」が挙げられる。改定前は「生活習慣病指導管理料」だったから、今回、「指導」が削除されたわけだ。

 指導と管理、このような使い分けで果たしていいのか、疑問に思う医師もいるのではないだろうか。「生活習慣病管理料」の算定対象である高脂血症、高血圧症、糖尿病のいずれも、初期のうちはほとんど自覚症状がなく、患者は生活習慣の改善が必要という意識に欠けるのが一般的である。健康診断で異常値が出ても、(筆者を含め)そのまま放置しておく人が少なくない。将来の脳血管疾患や虚血性心疾患を予防するための生活習慣の改善を実行させることは、決して容易ではない。

 こうした患者に対しては、肝炎に罹患していたり、ペースメーカーを挿入したりしていて病気だという自覚が十分ある患者以上に、医師からの積極的な働きかけが求められるはずだ。外来で多数の患者を診察しなければならない実態はさておき、生活習慣病については、「管理」よりも「指導管理」の方が、あるべき医療の内容を示す言葉としてふさわしいように思われる。「たかが言葉の問題」と言ってしまえばそれまでだが、今回の名称変更は、理想の追及よりも現状の追認を優先したフシがある。まずないとは思うが、「指導じゃなくて管理でいいんだから……」と考えて、生活習慣病患者に対する積極的な働きかけを控える医師が出てきたら見過ごせない問題だろう。

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