日経メディカルのロゴ画像

【米国から学ぶ--医療の質向上を目指して 第2回】
データ視覚化でスタッフの意識向上

「医療の質を見えるようにすれば、改善が半分は達成できたも同然」と指摘するジェニファー・ハービル氏。

 米国西海岸の北部にある人口約60万人の都市、ワシントン州シアトル市。ここにスウェーディッシュ病院がある。様々な臨床指標を計測してデータベース化し、病院経営の改善に生かす「臨床指標活用経営」で、その名を知られる。同病院は昨年、ワシントン州から、高品質のサービスを提供する組織に対して贈られる品質賞の準大賞を受けた。米国では、連邦政府から高品質のサービスを提供する組織に与えられるマルコム・ボルドリッジ賞が有名だが、品質賞はそのワシントン州版だ。

 スウェーディッシュ病院で、「臨床指標活用経営」の鍵となる診療品質改善部門の部長を務めるジェニファー・ハービル氏は、10数人のスタッフと共に品質改善に取り組む。産科、脳卒中、肺炎、心筋梗塞、心臓血管ステント治療、心臓外科手術、医療安全などの分野で、死亡率、有害事象発生率、平均在院日数、標準的治療実施率など、数多くの臨床指標を収集している。連邦政府や医療機能評価機関などに提出が義務付けられている分野のみならず、それ以外の多数の収集項目を加えている。こうした指標の中から、医療の質を上げるための、梃(てこ)となる指標を見付け、「標準的治療実施率をいつまでにどれだけ高める」といった目標を明確に設定して取り組むのだ。

 例えば、肺炎の減少を目指す改善では、ICU(集中治療室)入院時の投薬について、標準投薬指示書を作成し、医師がそれを順守するべく取り組んだ。2003年3月にプロジェクトを開始したときの投薬率は50%程度だったが、2004年2月に集計分析結果を医師にフィードバックするようになってから、その率は約60%に向上した。同年10月に医師別実績表を出すようになってからは80%水準に達した。このように、無理なくスタートして、医師の自覚を高めて改善を進めていった。

 また、2003年9月には、ICU入院患者には肺炎球菌ワクチンを投与する取り組みを開始した。ワクチン投与実施率は、取り組み開始前の10~20%から、20~30%に高まった。2004年9月には、投与タイミングを医師に知らせるようにしたところ、実施率が50%になった。さらに、薬剤師が看護師に投与を促すようになった2004年末からは、それが80%程度となり、今ではほぼ100%投与されるようになったという。

この記事を読んでいる人におすすめ