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【マイナス3.16%の深層 第2回】
ニコチン依存症管理料、要件の本当の厳しさ

禁煙指導は手間も時間もかかる。ニコチン依存症管理料は果たして普及するか。

 今回の診療報酬改定の数少ない目玉の一つに、「ニコチン依存症管理料」の新設がある。スクリーニングテストでニコチン依存症と診断されたなど、一定の条件を満たす患者に、日本循環器学会をはじめとする関連学会が作成したプログラムに準拠して、5回にわたる禁煙指導を実施した場合の点数だ。
 生活習慣病患者の多いクリニックにとって関心の高い点数だが、「算定要件が厳しい」という声がある。医師に禁煙治療の経験が必要な上、禁煙治療専任の看護職員が求められたり、呼気一酸化炭素濃度測定器を備えなければならないことが、こうした声につながっているのだろう。

禁煙成功率の報告、全面禁煙が要件
 しかし、この点数の本当の厳しさは別のところにあるのではないか。
 一つは、算定した患者の禁煙成功率を行政に報告する必要がある点だ。こうした医学管理は、手術や処置と違って実施内容やその効果が目に見えにくい。それもあってか、診療報酬の算定に当たり、成果がチェックされることはこれまでまずなかった。しかし、ニコチン依存症管理料については、中央社会保険医療協議会の議論の過程で効果に疑問が投げかけられたこともあり、成果の報告が義務づけられることになった。
 今改定では、高血圧や糖尿病などの患者に対する医学管理を評価した「生活習慣病管理料」も、療養計画書の様式が変更され、達成すべき目標や具体的な改善項目の明確化が図られた。禁煙指導に限らず、今後の生活習慣病の管理は、やりっ放しではだめで、数字で成果を求められる時代になったといえる。

 さて、もう一つの厳しさは、算定する医療機関の敷地内(テナント診療所の場合は保有・借用している部分)を禁煙にしなければならないことだ。看護師をはじめ、医療関係者にも愛煙家は少なくない。こうした方々は、これからさらに肩身の狭い思いをするだろうと思うと、いささか同情を禁じえない。
 この点に関して、現在国会で審議中の国民年金事業などの運営の改善のための法律案との関係が、頭に浮かんでしまう。この法律は、医療機関の開設者や介護事業の指定申請者が、国民年金などの社会保険料を長期間滞納している場合、保険医療機関や介護事業者としての指定や更新を認めない――という趣旨のものだ。どちらも、「社会保険(禁煙指導)で稼ぐなら、まず自らを正せ」という考え方が共通しているように思えるからだ。
 この考え方の妥当性には多少の疑念を覚えるが、医療費・社会保障費がますます膨張していく状況をにらめば、こうした“しめつけ”は、今後ますます厳しくなっていくと思わざるを得ない。

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