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【マイナス3.16%の深層 第1回】
「円周率」?「めくらまし」?今改定は名付けて…

 3月10日に開催された全国公私病院連盟の診療報酬説明会。3600人を超える聴衆が詰めかけた会場で、冒頭のあいさつに立った日本病院会の山本修三会長は、今改定を「円周率改定」と評した。山本氏いわく、「改定率がマイナス3.16%だったし、『割り切れない』からそう名付けた」。もちろん、医療機関にとって厳しい改定内容に、「納得がいかない」という意味だ。
 日本医師会を抵抗勢力ととらえる小泉首相の“意地”で、技術料部分も過去最大の引き下げ幅となった今回の改定。初診料・再診料の引き下げに見舞われた診療所は、さぞかし大きな打撃を受けていることだろう。

 ところが、現場からは意外な声が聞こえてくる。こと診療所に関しては、一部の診療科目を除き、思ったほどの影響はなかったというものだ。確かに、リハビリテーションの全面的見直しに直撃される整形外科、造血ホルモンが包括化された透析クリニック、コンタクトレズ関係の改正の影響が及ぶ眼科などは痛手を受けるだろう。
 病院も、急性期型は紹介率が評価されなくなり、療養型は医療必要度の低い患者の入院基本料が低く設定されたため、それぞれ減収になりそうだ。

 しかし、診療所を標的にした過去最大の引き下げという“看板”の割には、実際の影響はそれほどは大きくなかったように感じられる。そこで筆者は、今改定を「めくらまし改定」と名付けてみた。
 “看板”と実態の食い違いは、点数が引き上げられた項目でも見受けられる。例えば、小児医療がそうだ。乳幼児に対する初再診料の加算の部分に変更カ所が目立つが、ほとんどは各種の加算をまとめただけ。時間外・休日とも点数は現行と変わらず、引き上げられたのは深夜加算のみだ。
 
 患者に対する“めくらまし”をうかがわせる部分もある。「指導管理等」が「医学管理等」に名前が変わった点だ。冒頭の説明会で厚生労働省保険局の担当官は、その理由の一つとして、「患者から『指導を受けた覚えがないのにお金を取られた』というクレームがつくのを防ぐ」を挙げた。今改定では、初再診料や指導管理、検査など診療報酬の大項目で金額の分かる領収証の交付が義務付けられた。厚労省が示した領収証のひな型に「医学管理等」の項目があるだけに、指導管理の実態はさておき、名称だけは変えて患者の抵抗を減らそうとしたと見る関係者は少なくない。

 この連載では、「めくらまし」状況を念頭に置いて、医療現場および患者サイドから、今改定の深層を見ていきたい。             

(次回は「ニコチン依存症管理料」を取り上げる予定です)

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