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医学界のジェンダー平等を考える(2011.5.30訂正)
なぜ日本の医学部には女性教授がほとんどいないのか(上)
安川康介(米ミネソタ大学病院 内科レジデント)

2011/05/30

 最近、女性医師の増加が話題になることが多い。厚生労働省の調査によれば、全医師に占める女性医師の割合は18.1%であり、40年前に比べると女性比率はほぼ2倍となっている[文献1]。ここ数年間の医師国家試験合格者における女性の割合は約33%で推移しており[文献2]、今後しばらくは全医師に占める女性医師の割合が増え続けることが予想される。しかし、現在の医療現場において、女性医師が妊娠・出産・育児と仕事を両立するのは難しく、離職せざるを得ない女性医師が少なくない。近年、医師不足が深刻化したことで、いかに女性医師が勤務を継続できる環境を整備するか、離職した女性医師の復職をいかに促すかが議論されている。

 このように女性医師の勤務継続・復職支援は、医師不足対策という文脈の中で語られることが多い。医師不足対策のために、女性医師が勤務を継続できるようにすることは決定的に重要である。しかし、本来女性医師の労働環境問題は、より大きな枠組みの中で論じられるべきであり、「医師が足りない、だから女性医師の勤務継続支援を」という議論のみでは、医学界に存在するより本質的な課題を見落とす恐れがある。

 現在の日本の医学界ではまだまだ男性医師が中心となっており、女性医師が周辺的な立場にたたされている。そもそもこれほどまでに女性医師が働きにくい労働環境の背景には何があるのか。また、教授や医学部長などの指導的な地位にいる女性医師が極端に少ないのはなぜだろうか。医学界において、性別による教育、雇用、昇進の機会格差や賃金格差はあるのだろうか。医師が性別に関係なく働きがいの感じられる環境を構築するために、ジェンダーの視点から今の医学界を見つめ、「女性医師の勤務継続支援」の先にある問題について考えることが大切である。

 本稿では、まず日本社会及び医学界における男女格差について概観する。そして、医学界の男女格差の中でも、特に指導的地位にいる女性医師が少ないことに注目し、その原因について考えてみたい。最後に、医学界での男女格差を解消するためには、どのような取り組みが考えられるのかについて触れ、今後の医学界の在り方への問題提起としたい。

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