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新型インフルエンザ対策、「兵庫県の教訓を全国で生かしてほしい」
足立光平氏(兵庫県医師会常任理事、兵庫県新型インフルエンザ対策会議アドバイザー)

2009/08/31

兵庫県医師会常任理事、兵庫県新型インフルエンザ対策会議アドバイザーを務めるあだち医院(加古川市)院長の足立光平氏。

 今年5月の新型インフルエンザ国内流行開始時には、兵庫県は全国で最初に感染者が確認されて、現場でいろいろな問題が発生した。その問題に対応していく中で、いろいろな教訓が得られたので、それを今後に生かさない手はないと思う。兵庫県としては、感染症専門学者はじめマスコミ関係者まで入れた「検証委員会」を設置して、それら教訓を踏まえた検討を重ね、「次の波」に備え、よりよい対応のための提言を集約している段階だ。

 5月の流行時、一番問題になったのは、どの医療機関で新型インフルエンザの患者を診るかだった。当初は、強毒型のトリインフルエンザに対応した行動計画に沿って、「新型インフルエンザの感染を疑う患者は、すべて発熱外来で対応し、感染患者が確認されたらすべて入院させる」という方針だった。これでは発熱外来がパンクするのは目に見えていた。

 現実に、5月16日に「国内感染第1例」が確認されたが、それから2日ほどで神戸市の発熱外来はパンクしてしまい、一般医療機関でも条件付きで患者を受け入れることを決めた。結果として国はそれを追認する形となったが、現場の医師としては、こういった法制的しばりと現場のギャップの間で困惑することになった。

一般医療機関はいかに対応すべきか
 医療機関である限りは、そこで感染させることがあってはならないというのが原則だ。厚生労働省は「原則すべての医療機関で新型インフルエンザ患者を受け入れるように」といっているが、私はすべての医療機関でというのは現実的でないと思う。

 5月当初のように、発熱患者全員を発熱外来のみで診るという必要は全くないが、では発熱外来のような専門組織が必要ないかといえばそうではなく、強毒性の新型インフルエンザにもきちっと対応できる専門外来機能を整備しておくべきだと思う。何より、リスクの高い患者にとって、スタッフと体制が整っている医療機関を受診した方がいいのは明らかだ。

 そういった外来機能を、普段、感染症患者を診ないような科の医師がバックアップする体制も必要だ。どんなに大きな病院でも、専門外来に充てられる医師の数は限られている。外来機能を疲弊させないためにも、問診や検査など、他科の医師でも対応できる部分について、県医師会としても連携を進めたいと思っている。

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