日経メディカルのロゴ画像

失敗か?成功か?診療関連死モデル事業運営委員会報告を読む
中澤堅次(済生会宇都宮病院院長・医療制度研究会)、井上清成(井上法律事務所・弁護士)

2010/05/14

なかざわ けんじ氏○1967年慶應大医学部卒業。2004年より済生会宇都宮病院院長兼看護専門学校長。現在、慶應大医学部内科学教室客員教授、NPO法人医療制度研究会理事長。

 平成22年3月24日、医療版事故調査委員会設置法案に関わるモデル事業の報告がワーキンググループから発表された。3年間の結果を報告するとともに、民主党政権下でも存続が決まったことを受けて学会関係の法人事業として再開し、第三者機関の法制化のために事業の継続を求めている。

結果は失敗だが事業の方針は変えない
 事故調査委員会設置法案に多くの医師が反対する理由は、懲罰的な死因究明制度に対する問題の他、解剖重視の調査と評価の限界、遺族への説明の難しさ、費用対効果の悪さ、評価する医師の資格と人材難などに加えて、再発防止対策に不可欠な院内調査を第三者機関が代行するなど、制度上の欠陥があるからだった。

 今回の報告書では、指摘されていた欠陥がそのまま事実として証明された形になっており、院内調査については第三者評価の補完の意味と断った上だが重要性を認めている。

 様々な欠点とともに院内調査の重要性が認識されたので、第三者機関による安全対策は難しいという結論になるかと思ったが、相変わらず従来の方針を変えず、評価にあたる医師の人材難を補うために、専門的な教育を受けた厚生局職員や、少数の評価担当専門医を養成し、検証の範囲を拡大し、刑事処分、行政処分など法的な仕組みも明確化すると述べている。同じ事実の把握でありながら、正反対の結論を意図的に導きだす、わが国の特有の結論ありきのたちの悪い行政手法の現実を見た気がする。

この記事を読んでいる人におすすめ