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職文化の異なる国の制度をどう利用するか(2010.1.22訂正)
Job DescriptionとNurse Practitioner
神津仁(神津内科クリニック院長)

2010/01/20

こうづ ひとし氏○1977年日大医学部卒業。ルイジアナ州立大学インストラクター、特定医療法人佐々木病院などを経て1993年神津内科クリニックを開業。

※本稿は『看護実践の科学医療時評 Vol.35 No.1 2010-1』に掲載されたものを一部加筆して転載しました。

 明けましておめでとうございます。2010年という年がどんな年になるにせよ、我々が望むことは1つ、人々が健康で心安らかな毎日が過ごせるように、ということでしょう。今年も皆さんにとって良い年でありますようにお祈りします。

 さて、最近Nurse PractitionerNP)という職種が注目を集めています。もともとは米国の制度で、正看護師(Registered Nurse)として一定以上の職務経験を積んだ人が、専門職大学院において必要な学位を取得し、試験に合格して得られる資格です。

 その仕事は、比較的安定した状態にある患者さんを、医師のいない過疎地で診療するというものです。初期症状の診断、処方、投薬などを行なうことができますが、外科手術をすることはできません。

 NPは開業してオフィスを構える場合、自己の責任において開業ができる州と、提携関係にある医師の監督の下に開業ができる州とに分かれるようです。 その専門領域は、ウィメンズヘルス(女性の健康)、小児、高齢者、精神、急性期の5つの領域のほか、救急、家族、新生児などです。米国では病院医療がとても高額であることから、低コストで過疎地に必要な医療を提供するシステムとして受け入れられているようです。

 しかし、日本ではどうでしょうか?日本の医療費は先進国のなかで最も安く、長く社会主義的な統制医療下に置かれて、医師の給与は勤務医、開業医を問わず、今では米国の医師の数分の1という低コストで、日本の隅々まで保険証1枚で診療している状況です。政府も昨年、医師数を1.5倍に増員することを決定しています。

 NP が導入されると、看護師資格のなかに、また職業的ヒエラルキー(階級制)がつくられてしまいます。今でも准看護師と正看護師の、制度上の軋みが整理されていないのに、大丈夫なのだろうかと心配になります。

 明治・大正の昔には、医師にも医学専門学校卒、私立大学医学部卒、国立大学医学部卒などの違いや、医学博士を持つ、持たないで給与が違ったり、勤務待遇が違った時期もあったようです。しかし、我々の時代にはそうした違いはなくなっています。私も医学博士を持って、専門医も指導医も持っていますが、病院で給与にそれが反映されたことは一度もありませんでした。今のところ国が決めた診療報酬にも差はありません。

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