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政権交代と医師会の立場
加来裕(熊本市医師会副会長)

2009/11/06

 既に多くの場所で論じられているので、二番煎じの感は否めないが、今次政権交代と医療について論じたい。日医はこれまで、「医政無くして医療無し」「医政活動の中心は、時の政府・政権与党との交渉<ロビー活動>である」とされていた。にもかかわらずこの20年医療費は抑制され続け、特に小泉政権以後の医療・介護政策は更に「苛烈」なものとなり、結果「医療崩壊」を招いたと、反医師会のお先棒を担いできたマスコミですら認めざるを得ない状況になっていた。

 いわゆる、立ち去り型サボタージュで「異議申し立て」をした勤務医のみならず、開業医もその多くがやる気を削がれ、落胆し、疲弊している。政府・与党に対する日医の対応は不十分なのではないかとの懸念があった事を、日医執行部がご存じなかったとは思えない。平成18年に全国的な規模で署名活動を展開し、国会に請願したのは、旧来型のロビー活動に限界があるとの認識が有ったからではなかったのか。であるとすれば、今次政権交代後の対応には疑問符を呈さざるを得ない。

 熊本市医師連盟は前々回の総選挙において、政党を推薦するのではなく、それぞれの候補者にあるべき医療政策についてお尋ねをし、その考えや・人物を十分に吟味した上で推薦するという方法を採った。今回も同様の方法により1・2区ともに自民党民主党双方の候補を推薦した。熊本県医師連盟も今回、地区医師会の推薦を尊重するとして双方を推薦された。この事実を持って、医師会は自民党から密かに離れつつあるとか、民主党にすり寄っているとかの、為にする推測を披露する向きもあった。

 時の政権運営に大きく影響される我が医療界にあって、自民党による長期政権支配下では自民党への働きかけが医政活動の中心にならざるを得なかった事は理解できない訳ではない。しかしながら、先述の通り、この20年間、日医・医師連盟の医政活動が成功裡に運営されたと評価する会員は殆ど居られないであろう。地方医師会組織の中にいた者としては、極めて歯がゆい思いをしてきた。その中での、言わば苦渋の選択が先の推薦であった事がご理解戴けるであろうか。

 小泉退陣後の自民党は、「小泉路線」の継承でもなく転換でもない、鵺(ぬえ)のような政権運営で多くの国民の支持を失った。更に、百年に一度といわれる最悪の経済不況の中での総選挙にあっては、「政権交代」は錦の御旗にも匹敵し、抗する術もなかったと言うべきであろう。

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