日経メディカルのロゴ画像

マクドナルドでワクチン接種―米国における新型インフルエンザと糖尿病―
松本慎一(ベイラー研究所フォートワースキャンパスディレクター)

2009/09/11

 新型インフルエンザの感染は秋に向け、ますます拡大するものと予想されています。現在、私は米国にて糖尿病に対する膵島移植をはじめとする細胞治療に取り組んでおります。移植医療は免役抑制剤を使うため、また糖尿病は易感染性があるために、新型インフルエンザのリスクファクターと考えられており、私にとっても新型インフルエンザは深刻な問題です。今回は、米国における新型インフルエンザの状況、わたしが所属するベイラー研究所での対応などをご紹介したいと思います。

◆ 米国における新型インフルエンザの現況

 オバマ米大統領の科学技術諮問委員会は2009年8月24日報告書を発表し、新型インフルエンザ(H1N1型)が米国で健康に深刻な脅威をもたらす、との見方を示しました。ホワイトハウスは、新型であることから免疫があるヒトが少なく、かつ他のインフルエンザの型より致死率が高いというわけではないことから、通常以上に多くの人が感染する可能性が高いと予測しています。

 実際に、米国疾病対策センター(CDC)からの報告によると、米国では2009年8月22日の時点で、新型インフルエンザによる入院者数は8843名とされ、日本では死亡者数は10名以下ですが、米国では死者数もすでに556名となっており、死亡者数は全世界の死亡者のおよそ4分の1を占めています。全米における、小児の死亡者も110名となっており、問題は深刻です。8月の終盤には、米国の多くの州では新型インフルエンザの活動が安定あるいはやや低下していますが、南東部の州では依然として活動が盛んです。

 このように、米国でも新型インフルエンザは深刻な国家的問題として捉えられており、精力的に対策が進められています。

◆ 米国における新型インフルエンザワクチン対策

 米国でも、ワクチンが新型インフルエンザに対して最も強力な対抗策と考えられています。このため、米国政府は、新型インフルエンザに対するワクチンに対して製造元を精力的に支援してます。公的あるいは私的研究機関とCDCはともに、新型インフルエンザの分離および改変を行なうことで、数億のワクチンを作成する準備をしています。わたしが所属するベイラー研究所も新型インフルエンザに対するワクチン研究にコミットしています。新しいワクチンの候補は数ヶ月をかけて臨床治験をする予定になっています。

 新型インフルエンザに対するワクチン作成は、2009年の秋を目指して進められていますが、通常のインフルエンザワクチンがおそらく先に準備できると考えられており、通常のインフルエンザワクチンを先に接種することが勧められています。

この記事を読んでいる人におすすめ