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新型インフルエンザと東アジアの伝統医学
津田篤太郎(JR東京総合病院血液リウマチ科、北里大学大学院医療系研究科(東洋医学))

2009/06/15

【新型インフルエンザと現在の治療】

 2009年4月下旬、メキシコでブタから感染したインフルエンザの報告(数十例の死亡報告を含む)が公にされた。それからまだ1か月を経過していないが、筆者がこれを書いている現在、流行は北米・南米・ヨーロッパ・東アジアに拡がり、全世界で10,000例を超えた。日本国内でも300例に迫っている。

 いまのところ、当初懸念されたような強毒性ではなく、1957年流行のアジア風邪並みの死亡率(0.4%程度)とされている。しかしながら、1918年のスペイン風邪では、パンデミック第一波は病原性の弱いものであったとされており、今後北半球が冬季を迎えたころ、毒性の強いウィルスに変異する可能性はまだ残っている。

 治療としては、抗インフルエンザ薬であるオセルタミビル(タミフル)・ザナミビル(リレンザ)が有効とされているが、あくまでin vitroのデータから推認されている有効性であり、まだ、臨床的に有効か否かを判断できるデータは無い。

 また、2006~07年のシーズン以降、オセルタミビル投与と小児の異常行動の関連を指摘されており、現在10代未成年者への使用が制限されている。(しかし、現在日本で報告されている新型インフルエンザ患者の大半が高校生である!)

 2009年に入り、通常の季節性インフルエンザ(Aソ連型)では、そのほとんどがオセルタミビル耐性になっている可能性を示唆する報告がなされている。しかも、強毒性鳥インフルエンザ(H5N1)では、すでに耐性ウィルスの報告が2005年からなされている。

 世界の人口の多くを占める貧困層には、これら抗インフルエンザ薬はきわめて高価である。現在WHOが中心となって適正供給の努力がなされているものの、新型インフルエンザの拡がり、または病原性の変異の仕方によっては、買占めが起こったり、純正品ではない薬剤が出回ったりすることも予想される。

【中国政府の発表した治療指針】

5月9日、中国政府(衛生部)は、新型インフルエンザ対策について発表した。6つの項目からなり、

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